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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#14
DARK BLUE MOONY 〜Bake The Dust〜
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炎獣達の背後、
セーラー服姿の少女が胸元のペンダントを揺らしながら
最奥のマージョリーへと差し迫っている。
 無数の爪が自分に着撃する瞬間、即座に己の身を黒衣から素早く抜き出し
「残像」 を代わり身として相手に攻撃したと錯覚させる高度な回避術。
 マージョリーの遣ったモノとは性質が違うが
相手を幻惑すると言った点では同じのモノ。
 トーガ達の足の隙間を転がりながら潜った為、やや崩れた体勢ではあるが
少女はそのまま手にした大刀を足下のコンクリートに引き擦り、
凶暴な火花を掻き散らしながら必殺の一閃を射出する為に眼前の美女へと疾走する。
 空を穿つ抜刀炎撃斬刀術 『贄殿遮那・火車ノ太刀/斬斗(キリト)
「フッ……!」 
 その少女の姿に邪な笑みを浮かべた美女は、手にしていた 『本』 を宙へと放る。
『本』 はそのままピタリと固定されたように空間へと貼り付く。 
 そし、て。
 ドグオオオォォォォォッッッッ!!!!
 大地を支点にした刀身を己に射出しようとしていた少女へ瞬く間に強襲し、
無防備な水月へ路面に亀裂が走る程の強い踏み込みで跳ね上げた膝蹴りをブチ込んだ。
「う……ぐぅ……ッ!?」
 想定外の事実に、そして急所にメリ込んだ蹴撃に少女の瞳が大きく見開かれる。
 意図せずに大量の呼気が吐き出され、大刀の柄に据えられた両手も小刻みに震えた。
 それと同時に、並の戦闘者ならその場に蹲り恥も外聞もなくのたうちまわるほどの、
筆舌に尽くし難い痛みと怖気と吐き気が少女の脳幹を劈く。
「“遠隔操作能力” を遣うから、近接戦は出来ないとでも想ったの?」
「あ、ぐぅッッ!!」
 その直後、開いて剥き出しになった少女の背中に、
美女の肘が錐揉み状に旋廻して捻じ込まれた。
 通常のフレイムヘイズの防御能力なら、ただそれだけで背肉が爆ぜ、
内部の胸椎も軒並み圧し潰される程の痛烈な撃ち落とし。
 肉が歪み、みしりと骨が軋む音に混ざって成熟した女の声が到来した。
「無数の炎獣(トーガ)を率いるこの私が、ソレより弱いワケがないでしょう?」
 崩れた体勢で硬直するシャナに、マージョリーは優しく教授するように語りかける。
 そして。
(顔は、勘弁してあげるか。一応女だものね)
 美女は平に構えた拳を収め、代わりに身を低く鋭く踏み込み
左の肘を少女の右脇腹に挿し込んだ。
「ぐァッ!?」
 辛うじてに後ろに飛んだものの、左拳に添えられた右腕の撃ち込みの威力を
完全に殺すコトは叶わず、少女は背後へ直線状に弾き飛ばされる。
 主の道を開ける従者のように、左右に展開したトーガ達の間を擦り抜け
突き破った鉄柵の支柱に、なんとか指を絡ませ墜落するだけコトは避けるシャナ。
 しかしそこから再びコンクリートの上に降り立った
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