第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#14
DARK BLUE MOONY 〜Bake The Dust〜
[8/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ま》 はなく少女は纏った黒衣を拡げて身を包み防御体勢を執る。
ソコを待ちかねたと言わんばかりに、
無数の炎獣の巨腕が大襲撃をかけた。
「ぐ……ッ! うぅ……!」
視界に留まらない、ありとあらゆる方向から繰り出される乱撃の嵐。
気を抜けば瞬く間に押し潰されてしまうような炎獣の猛攻。
速く重く、そして一向に途切れない、
まるでスタープラチナの連撃でも真正面から受けているようだった。
少女が刀身を斜に構えているのにも関わらず、
自分の腕が切れるコトも構わず攻撃を繰り出してくるモノ、
それとは逆に着撃箇所を正確に狙ってくるモノもいる。
どれも同じように見えるが、実は一体一体に個性があるのかもしれない。
黒衣が引き裂かれ腕に裂傷が走り、その白い頬にも赤い罫が走り
珠のような飛沫が空間に跳ぶ。
(このままじゃ持たない……! 相打ち覚悟で……ッ!)
そう決意し細めた瞳を開く少女への一方的な猛攻が不意に止んだ。
(!?)
反射的に双眸を開くシャナの眼前、先刻己の斬撃を吸収した炎獣が、
その拳を硬く握り締め弓を引くように大きく振りかぶっていた。
そして少女の躰を木っ端微塵に砕くかのように、
その巨拳を容赦なく撃ち降ろす。
「あうぅッ!」
反射的に出た底掌受けでなんとか直撃は避けたものの、
威力を消す事は当然叶わずシャナは背後に高速で弾き飛ばされる。
乗り越え防止の為かなり頑強に造られた鉄柵に、
少女の躰は磔刑のように叩きつけられた。
暴力的な激突音。
拉 げた背後からそのまま殉教者のように力無く地に落ちるシャナに再び、
群青の獣が我先にと群がる。
立ち上がる力が在る内は執拗に叩き、徹底的に嬲り殺しにするつもりのようだった。
(とても……全部は相手に仕切れない……なら……!)
グラつく視界を何とか意志の力で繋ぎ止め、シャナは炎獣達の最奥、
最初から構えを違えず細い両腕を腰の位置で組むマージョリーを見据える。
(『本体』 を叩く……ッ!)
完璧に統率された群集を成して殺到する炎獣に対し、
シャナは意志の力を研ぎ澄ませる。
ソレに呼応するように、千切れた黒衣の裾がさざめいた。
そこにすかさず繰り出される、炎獣の猛攻。
先刻の一方的な暴虐の熱に浮かされているのか、
威圧感と手数の多さは比較にならなかった。
そして、夥しい数の爪撃が無惨に少女の躰を数多の破片へと引き裂いた刹那。
炎獣の群の前には、散り散りになった黒衣の脱け殻だけが
巻き起こった気流にたなびいた。
((((((!?))))))
目の前にいた筈の標的を見失い、キョロキョロと周囲を見回す
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ