第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#14
DARK BLUE MOONY 〜Bake The Dust〜
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る。
「くっ……!」
即座に追撃に移ろうと、少女が再び足裏へ炎気を集めようとした瞬間。
(!?)
美女の足下で群青の光が放射状に弾け、ソコから多量の不可思議な紋章と紋字が
具現化した音響のようにコンクリートの石面を滑ってきた。
やがて、規定された位置でそれぞれ正確半径3メートルの円周を
組んだその紋章群は、一度強く発光した後内部から巨大な火柱を噴き
ソコから在るモノを現世に 『召喚』 する。
石の焦げる匂いと灼けた空間が生み出す水蒸気と共に現れたモノ。
ソレは、群青の炎で形創られた異形の獣。
羆 を横に圧し拡げたような、
大形な体躯にダラリと垂れ下がった長い腕、
刻み目のような両眼に鋸のような牙。
総数十二体の巨大な獣の群が、
口元に狂暴な、或いは嘲弄するような笑みを浮かべて
少女の前に立ちふさがった。
「……ッ!」
紅世の徒複数に囲まれた時より、余程生きた心地がしない焦燥に
少女が息を呑むと同時に胸元のアラストールが告げる。
「むう…… “蹂躙の爪牙” が存在の証 憑。炎獣 『トーガ』 か。
しかしコレだけの数を一度に召喚するとは、戦闘に長けた恐るべき自在師。
気を引き締めてかかれ。間違っても “燐子” 等と同一にはみるな」
過剰な挑発を受けたとはいえ感情のままに戦いに挑んでしまったコトを、
アラストールは咎めずいつも通りに接してくれている。
その敬愛する己が王に一度深く頷いたシャナは、
炎獣の群より遙か後方に位置する美女に向き直る。
「おまえも……“ゾディアック” の遣い手……!」
心中の動揺を気取られぬよう握った刀身を前へと突き出し、
可能な限り平静を装って少女は問う。
「フッ……宝具や神器に頼り切ってる、ソコらの三下と一緒にするんじゃないわよ。
己に宿る王の威力を自在に引き出すコトが出来なくて、
一体何の “フレイムヘイズ” なの?」
美女はその不敵な笑みを崩さずに応じる。
【紅 堂 伽 藍 拾 弐 魔 殿 極 絶 無 限 神 苑 熾 祇】
かつて幾多の紅世の王とフレイムヘイズにより、
幾千もの淘汰と研磨の果てに創り出された
フレイムヘイズ専用、究極の戦闘焔術自在法大系。
しかしその修得が至難なコトと遍く宝具の蔓延によって、
実際に 『遣える者』 は意外に少ない。
アノ “狩人” フリアグネですら、宝具や燐子を “触媒” として焔儀を
繰り出していたのにも関わらず、目の前の美女は己の能力のみで
自在法を生み出している。
余計な策や小細工を一切使わない、否、必要としない純粋なフレイムヘイズ、
ソレが自在師
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