第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#14
DARK BLUE MOONY 〜Bake The Dust〜
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で高鳴った。
得体の知れない恐怖が、己の心を蝕んだ。
(……)
余裕なんかじゃ、なかった。
紙一重だった。
今日に至るまでの、幾多にも及ぶ戦闘訓練の中、アイツの、
『星 の 白 金』 のスピードに眼が慣れきっていなければ、
いまので確実に終わっていた。
(……ッッ!!)
その事実を認識すると同時に、少女の全身を途轍もない憤激が駆け巡った。
まるで、己の血がマグマのような高熱を宿し逆流でもしたかのように。
もし今の自在法が直撃していたら、
重傷を負った自分の所為で全員がここに足止めされるコトになった。
もし今ので 「再起不能」 にでもされていたら、スベテが終わっていた。
こんな、何もかも中途半端な状態のまま、自分で何の答えも出せていないまま。
永遠にアイツの傍から引き離されていた。
「のォ……!」
その花片のような口唇を血が滲むほど強く噛み締め、
泰然とした状態を崩さない美女を貫くように睨んだシャナは、
「こォ、のおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
ぉぉぉぉ―――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!」
自身が炎の塊と化したかのような凄まじい咆吼と共に、
眼前の一人のフレイムヘイズへと挑み懸かった。
【2】
燃え盛る怒りと共に足裏を爆散させ、弾け飛ぶコンクリートの飛沫よりも疾く、
シャナは既に刺突へ構えた “贄殿遮那” でマージョリーに猛進していた。
その戦慄の美を流す大太刀の切っ先が、
瞬く間もなく美女の潤沢に脹りあがった左胸を深々と刺し貫く。
「……」
一時の感情の爆発で己が同属を屠った少女の瞳には、
微塵の躊躇も後悔もそして罪悪感すらも感じられない。
その真紅の瞳の裡には、得体の知れない漆黒の意志が宿り先刻とは一転、
全身の血が凍り付いたような冷たい感覚が少女の存在を充たしていた。
自分がここまで冷徹に、残酷になれるモノかと一抹の駭然と共に愛刀を見つめる
少女の視線の先で、美女がその両眼を見開いたまま貫かれた左胸を凝視していた。
しか、し。
「……ッ!」
急所を貫かれ絶命した筈の美女はグラスの奥で一度挑発的にシャナに微笑むと、
霧が陽光の中へ溶け込むようにその躰の稜線と空間の境界を無くし消えていく。
(“陽炎!?” )
以前アラストールが遣ったモノを感覚的に覚えていた少女は咄嗟に背後へ振り向く。
その視線の遙か先、肩口にブックホルダーを下げた無傷の美女が同じ挑発的な微笑を
口元に刻んでこちらを見据えていた。
「まったく、こうもあっさり引っかかると、騙し甲斐ってものがないわね」
そう言って件の如く、大仰な手つきで背後の栗色の髪をかきあげ
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