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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#14
DARK BLUE MOONY 〜Bake The Dust〜
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められなかったのか?」
「……テメーにだきゃあ言われたかねーんだよ」
 ソレまでの軽躁な物言いから一転、マルコシアスは重くナニカを含んだような
険悪な声でアラストールに吐き捨てた。
「“紅世” がヤバくなるまで “徒” の乱獲おっぱらかしてた 「偽善者」 がよ。
封絶遣わねーで人間喰うヤツもいる。
「使命」 だの何だのとくだらねー御託並べ立ててる間に、
一体何人くたばったかテメーこそ解ってんのか? アァ?
今この間も、“紅世に影響がなけりゃあ” テメーの世界の都合の悪ィモン全部!
マージョリーみてぇな 「人間」 におっかぶせて死なせるつもりだろうがッッ!!」
「……ッ!」
 予期せぬ言葉。
 昔から、感情に走る男では在った。
 敵であろうと味方であろうと、気に入らない者は誰彼構わず戦いを挑み、
そして跡形もなく徹底的に叩き潰す。
 ソレ故の “蹂躙の爪牙” の真名。
 しかし、自分の()っていたこの男とは、明らかに違っていた。
 己の意のままに行動し、他者の存在など歯牙にもかけなかった者とは。
 そう。
 今の自分と同じように。
「蹂躙……貴、様……?」
 既視感にも似た感覚に惑いながら己をみつめるアラストールに、
マルコシアスはケッとグリモアの隙間から火吹を漏らした。 
「兎に角、ラミーのヤローは何があろうとも絶対ェにブッ殺すッ!
その決定に変更はねぇ。邪魔しようってんなら
テメーから先に咬み千切るぜ! アラストールッ!」
「こいつ……!」
 露骨に剥き出しにされた戦意からアラストールを庇護するように、
少女は白刃を握る手に力を篭め一歩前に出る。
 余りにも一方的なマルコシアスの誹謗にも腹は立ったが、
ソレより優先すべき事項の為胸中の思考は霧散した。
 その刹那。
「!?」
 突如己の眼前に迫る群青。
 反射的に身を翻した自分のすぐ脇を蒼い炎の濁流が駆け抜けていき、
一瞬前まで自分がいた場所で、先端が顎のように開いた炎が空間を噛み砕いていた。
 ソレが魔獣の頭部を成した焔儀(モノ)だと知ったのは遙か後。
 刻み目のような魔獣の隻眼がニヤリと自分を一瞥し、
空間を焼き焦がしながら高速で元の場所へと戻っていく。
 前方で屹立する美女の携えた巨大な 『本』 神器グリモアの中に。
「……ッ!」
 驚愕に息を呑み、背中に冷たい雫が伝うのを感じる少女に向け、
美女は無感動に告げる。
「よく(かわ)したわね? 最も、コレ位余裕で躱せないようじゃ、
“天壌の劫火” の名が泣くってモノだけれど」
 路傍の石でも見るような冷たい視線で、
マージョリーは真紅の双眸を開いた少女を見下ろす。
 ソレは、他の紅世の徒を見下ろす視線と全く同じ。
 胸の鼓動がうるさい位にシャナの裡
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