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夜空の武偵
Ammo10。また、な……
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われた父さんはバツが悪そうに。

「家じゃ、あまり飲まないからね。飲みすぎたら母さんがキレるし。父さん……お爺ちゃんは酒飲むと僕よりヤバくなるし……子供の教育上、酒と喧嘩はご法度になってるんだよ。我が家では」などと、語る。
しかし、俺は知っている。
父さんの部屋の本棚の裏に、隠し扉があって、そこに年代物のワインが保管されてることや。
家で喧嘩が起きないのは、超能力アリだと母さんに絶対に勝てないからだと。
完璧超人の父さん曰く、女性と超能力は苦手だ、と言っていたからな。
うちの序列は女の方が強い。
爺ちゃんも婆ちゃんには頭が上がらないみたいだし。
キレた母さんはヒルダの千倍恐ろしいからな。
そんなことを思いつつ、父さんに気になっていたことを聞く。
シャーロックとの戦い、そう、俺が気を失ってから起きた出来事全てを。

「……うん、そうだね。あの『無限罪』を倒した昴君には聞く権利がある。わかった、話そう。
僕が知る全てを。彼との戦いの……全てを」

ワインが入ったグラスを傾ける父さん。その口からあの日あった出来事が語られた。
のちに明かされたそれは、やがて頂上決戦と呼ばれる戦いで。
俺と父さんの運命を狂わせた……いや、ある意味『必然』とも言える出来事を起こす__世界最強同士のぶつかり合いの『序章』の戦い。『緋弾のアリア』を生み出すあの戦いへと、俺が参加するきっかけになった__そんな戦いの『始まりの戦い』だった。








3日後。ブカレスト国際空港。
今日、俺は帰国する。
最初は乗り気じゃなかった国際遠征。
初めてのお使いから一転、諜報活動やら、吸血鬼とのガチバトルやら、世界最強の探偵にボコられるやら……ロクな目にあわなかったが。
終わってみると、帰る時間が迫ると途端に寂しくなる。
辛いこともあった。救えない命があった。自分の弱さを痛感した。
__だけど。
だけど……それと同じくらい、大切な人と出会えた。肩を並べて戦った仲間がいた。助けられた人がいた。
苦しんだ分だけ、辛かった分だけ、笑顔になれた。信じ合える仲間ができた。
強さとは何かが少しだけ解った。
世界を知れた。己の力を知れた。
『運命』を『覆す』ことも出来た。
自分一人だけでは俺は何も出来なかったかもしれない。
転生という、アドバンテージ。原作を知っていたから調子に乗っていた、だから勝てなかったのかもしれない。だけど……と俺は思う。
原作を知り、転生したからこそ。
自分にしか出来ないことがあるのではないか?
力がないのなら力をつけよう。
知恵がないのなら知恵を付ければいい。
まだまだ時間はあるのだから。
俺はこのルーマニアで多くのことを学んだ。
武偵として。人として。
大切なことをたくさん学べた。
武偵
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