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夜空の武偵
Ammo10。また、な……
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ぃ、ま、待ってーな。これ、ビール風りんご味のジュース。子供ビールや。微炭酸ノンアルコールやから、三倍刑は勘弁してーな〜」

「そ、そうよ。さすがの私達でも先生の前ではハメはハズさないわよ。「僕の前では?」……いえ、いつも外してませんとも」

綴の発言を聞いた父さんから黒いオーラのようなものが出た。
そのオーラは父さんの全身に広がり、やがて胸筋や腕筋……といった全身の筋肉が膨らみ、頭部には血管が浮かび上がる。
前歯も2本その先端が尖り、出っ歯になる。頭の頭頂部にはまるで角のような突起物が出ている。
コレは父さんがマジ切れした時に出る症状だ。なんでも一族代々受け継ぐ困った病気……らしい。
何故出るのか、と昔、聞いたことがあるがその都度、母親からビリビリされてきた思い出がある。ビリビリされる度に記憶もあやふやになるから、いつしか深く追求するのを止めた。世の中には知ってはいけないことがある。
これもきっとその類いだ。だからここ数年はスルーして生きてきた。
好奇心猫を殺す。その言葉の通り、好奇心で首を突っこんではいけないと身体で覚えた。
それに暴走した父さんを止めるのは俺にはできないしな。

「ちょ、スバル、助けろや!」

「援護しなさい。早くしないと尋問するわよ??」

すまない、らんらん。綴。
お前らの犠牲は無駄にはしない。俺があんたらの味方するわけないだろう。
父さんを敵に回して勝てる気がしないからな。

「……骨は拾ってやる!」

「「薄情者ーーー!!!」」

なんとでも言え。『命を大事に』コマンド一択だ。
『ガンガン行くぜ!』オンリーのあんたらに付き合っていたら命がいくらあっても足りねえよ。

「大丈夫、大丈夫……痛いのはほんの一瞬だから」

「「全然大丈夫じゃない!」」

お手手とお手手の平を合わせて……。

「南〜〜〜無〜〜〜」

「「薄情者ーーー!!!」」




「さて、静かになったことだし。まずは何から話そうか?」

素行の悪い不良達を黙らせた父さんは席に着くなり、今まで起きていた惨劇はまるでなかったかのように、平然と言った。アドルフさんはそんな父さんの姿にドン引き……などしていなかった。
「ああ、またか。懐かしいな」などと言ってビールが入ったグラスを傾けている。そんなアドルフさんに驚く。いつものこと、という態度もそうだが……それより。

「……日本語話せたのかよ」

アドルフさんは「誰が、いつ話せないと言った?」などと言って豪快に笑う。そして……父さんの行動には慣れっこだと言わんばかりに、ぐびぐびと、豪快にグラスを傾ける。
「騒がしい父ですみません」と一応謝ったが、アドルフさんに「いつものことだからな。家だと違うのか?」などと言われてしまった。

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