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夜空の武偵
Ammo08。『最強』の壁
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スを振り下ろすのを見つめる。
ああ……やられた。
殴った瞬間、室内なのに砂塵が舞った時点でおかしいとは思ったが……まさかもうあの魔女と接触していたなんて。さっきまでのシャーロックは(デコイ)だったのか。
砂人形を作って入れ替わっていたことに気づかなかった。
解っていたはずなのに。知ってたのに……油断していた。
畜生……悔しいな。悔しい気持ちと同時にやはり、という気持ちを感じた。
『最強』の壁は簡単には破れない。
そう告げるかのように、スクラマサクスがゆっくり振り下ろされるのを呆然と見つめることしかできないなんて。
目を瞑って、襲ってくるであろう痛みと衝撃に耐えようとしたが……衝撃も痛みもこなかった。
それどころか。
バシッ、と何かを受け止めたような音が聞こえる。
何が起きたんだ? 恐る恐る閉じていた目を開けると……そこには。

「大丈夫かい。よく頑張ったね、後は任せなさい」

微笑む父さんの姿があった。
えっと……これは幻聴か? 父さんの声が聞こえるなんて。
これは幻覚か? スクラマサクスを二指真剣白刃取り(エッジ・キャッチング・ビーク)した父さんの姿が見えるなんて……。
もし、幻覚じゃないのなら、一言言いたい。
来るの……遅いよ、と。
そんなことを思い。そして同時に助けに来てくれたことに感謝し、安堵する。
『ヴァンパイア・ストライク』の主力組が突入してきたのが解ったからだ。
さすがにシャーロックでも父さんを含めた主力組にはてこずるだろう。
へへ、ざまぁー見ろー、なんて思っていると。
ついに限界が訪れた。
ああ、結局……シャーロックに一撃入れられなかったな……なんて思ったのを最後に視界が真っ黒になる。
限界を迎え……俺の意識はそこで途切れたのだ。
こうして、短い俺の冒険は終わった。
吸血鬼を捕らえるという目的は果たしたものの、圧倒的な力量差による『敗北』を味わって。
そして、倒れた俺に寄り添う少女達の声を薄れゆく意識の最中に聞きながら……俺は誓うのだった。

『次は負けない』と。
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