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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十五話 ヴァレンシュタイン艦隊の憂鬱
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、その時点でこちらも地球教を危険だと周囲に説得できる。ようやく奴らに対しても手が打てるだろう。今のままでは何の動きも無い地球教を危険視するのは余りにも不自然すぎる。

フェザーン方面が落ち着くまでには最低でも二ヶ月か三ヶ月はかかるだろう。その間は本隊の指揮はメルカッツ提督にお願いすることになる。十個艦隊近い兵力を運用する事になるか……。

階級で上位にある事だけでは不足だな。役職でもメルカッツ提督を皆の上位に置く事が必要だ。宇宙艦隊副司令長官か……。メルカッツ提督を副司令長官にするのは問題ないが、どのタイミングでそれを発表するかだな。

ぎりぎりまで待ったほうがいいだろう。副司令長官にするとなれば理由を話さなければならないがフェザーンの件は出来るだけ伏せておきたい。今の段階でフェザーンに知られてはやり辛くなる。


それに周囲が変な誤解をしかねない。俺がラインハルトを切り捨てる覚悟を決めたと勘違いする人間も出るだろう。辺境星域鎮定で失敗すれば切り捨てるが、何が何でも切り捨てると決めたわけではない。ラインハルトも不安に思うだろうし、不安を煽る人間も出るはずだ。

厄介な話だ、敵とどう戦うかよりも味方をどう扱うかの方が神経を使う。まったくうんざりする。ミュッケンベルガー元帥も同じような思いをしてきたんだろうか、一度訊いてみるか……。

会いに行けばユスティーナにも会うことになるな。どんな顔で会えば良いだろう。彼女は先日の俺をどう思ったか……。情のない男、冷血漢とでも思ったかもしれないな。

彼女が俺に好意を持ってくれているのはなんとなく分かる。しかし俺はどうすればいいのか良く分からない。俺としては彼女は嫌いなタイプじゃない、むしろ好みのタイプだ。ヒルダやヴェストパーレ男爵夫人のような才気に溢れた女性よりユスティーナの方がずっと良い。

だが彼女は貴族で俺は平民だ。彼女は、ミュッケンベルガー元帥はそれをどう考えているのだろう。これからは平民の時代が来る、そうは思っても俺を受け入れられるのだろうか? 実力を認めるのと受け入れるのは別だろう。

俺の祖父と祖母を見れば分かる。祖父は祖母との結婚を望んだが、祖母はそれを拒んだ。貴族が平民を蔑む以上に平民が貴族を忌諱することもある。それほどこの世界では貴族と平民の壁は大きい。

祖父と祖母の話に限らない。ケスラーも同じような想いをしている。彼の幼馴染のフィーアは貴族だろう。それも爵位を持たない帝国騎士だと思う。幼馴染として育って互いに好意を抱いていた。結婚できるとも考えていたかもしれない。

しかしケスラーはそれが不可能だと気付いた。多分、士官学校に行くようになって貴族と平民の身分の壁に気付いただろう、あるいは気付かされたのか。だから、少尉任官後フィーアの前から去った。そしてフ
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