第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#13
DARK BLUE MOONX 〜Dead Man's Anthology〜
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名があらゆる場所に轟いているコトも認めざる負えない。
「うむ。私も存外についている。
よもや “天壌の劫火” の庇護の下で行動出来るとはな」
独り言のように漏らしたラミーの言葉に、承太郎が敏感に反応する。
「知り合いなのか? アラストールのヤツと」
「そのようなものだ」
「……」
いともあっさりと告げられたその事実に、
だったらもっと早く言えと承太郎は自分のコトを棚上げして視線を逸らす。
最初からソレが解っていれば、こんなややこしい事態に陥らずにすんだ。
「では空条 承太郎、 “天壌の劫火” と “炎髪灼眼の討ち手” に伝えてくれ。
私がしばらくこの街に……、……!?」
ラミーはそこで言葉を切った。
中程まで減ったグラスを手にしたまま、先刻とは較べものにならない程の
鋭い視線で外の風景を、否、その遙か先を見据えている。
「……どうした?」
二杯目も、もう空ける寸前のグラスを傾けながら承太郎はラミーに訊く。
「……封絶だ。想ったよりも近い。
先刻、今にも消え去りそうな小規模のモノを感知したが
コレは密度、規模、構成共にその比ではない。
彼奴らめ、もう私を追ってこの地に来ていたのか」
ラミーの全身から発せられる張り詰めた空気に、承太郎は問う。
「穏やかじゃあねーな。誰かに追われてんのか?」
「フレイムヘイズだ。昔とある場所で出くわして以来、しつこく付きまとわれている。
普通のフレイムヘイズなら、私のような世界の存在に影響しないモノは放っておくのだが、
其奴らは “徒” を討滅するコトのみに執着している戦闘狂なのだ」
『スタンド使い』 にも、善い人間と悪い人間と普通の人間がいる。
元は同じ存在である以上、フレイムヘイズもそれは変わらないというコトか。
「……」
承太郎はグラスに残っていた液体を一気に呑み干した。
そし、て。
「どっちだ?」
決意の光で充たされたライトグリーンの瞳で、真正面からラミーを見据える。
「……?」
承太郎の言葉の意味が解らなかったのか、ラミーは無言のまま彼を見つめ返す。
「方角教えろ。オレが話 つけてきてやるよ。“無実” なんだろ?」
ますます解らないといった表情で、老紳士は目の前の無頼の貴公子に問う。
「何故だ? 何故君が、見ず知らずの私の為にそこまでする必要が在る?」
「……」
理由は、幾らでも考えられた。
アラストールの知り合いだから。
先刻の行為に対する罪滅ぼし。
或いは、酒を一杯オゴってもらったから。
しかし、承太郎が出した結論は。
「要るか? 理由が?」
おもむろに立ち上がりラミーに背を向けて告げた言葉は、ただそれだけだった。
「自分が何かをするのに、
い
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