第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#13
DARK BLUE MOONX 〜Dead Man's Anthology〜
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苦々しげに再び外の風景に視線を移した承太郎の前に、
先刻のウェイトレスが何を勘違いしたのか年代モノらしいウイスキーを
『ボトルごと』 銀色のアイスペールと2つのロックグラスと
一緒にテーブルに置き、深く一礼して下がっていった。
嗜む程度で本格的に飲む気はなかった承太郎は仕方なしに、
慣れた手つきでグラスにゴトゴトと氷を入れる。
そこに。
「私もいただこうか」
目の前のラミーが素っ気なく告げる。
「……」
一応年長者 (?) なので彼の分まで作り、
原液と一対一で割った水割りを承太郎は老紳士の前へ置く。
そして原液のみが注がれた自分のロックグラスを口元に運ぼうとした時、
ラミーがこちらにグラスを傾けてきたので仕方なくソレに応じる。
硬質な結晶が弾けるような、澄んだ音が二人の間に響いた。
『スタンド使い』 と “紅世の徒” が共に酒を酌み交わすという奇妙な光景の中、
一息で並々とつがれた琥珀色の液体を三分の一ほど減らした無頼の貴公子が
徐 に口を開く。
「ンで、何なんだよ、オレに聞きてぇコトってのは?」
「フム、君の存在に宿る宝具ではない能力にも興味は尽きないが、
それは取りあえず於いておこう。まずは、君の傍にいるフレイムヘイズについてだ」
「……チョイ待ちな。“何故傍にいる” って言い切れる?
確かにヤツ等のコトは知っちゃあいるが、
いま現在オレの近くにいるとは限らねぇぜ」
もう目の前の老人に対して警戒心らしきモノは殆ど抱いていなかったが、
その優れた洞察力故に承太郎は疑問を口にする。
「フッ、確かに推測に過ぎないが、十中八九確定的な事項だ。
この街に入った時よりフレイムヘイズの存在を強く感じているし、
君にはその気配が色濃く残っているからな」
「残り香みてぇなモンか」
「そのようなものだ。
ともあれ、そのフレイムヘイズの名前と王のコトを教えて欲しい」
注がれていた液体がなくなり、グラスの底で氷が音を立てる。
「シャナっていう女だ。見た目は完全に小娘だがな」
「シャ・ナ……? 聞いたコトのない名だ」
「名前がねえっつーから、オレのジジイがつけたんだ」
「ほう、名前がない……変わったフレイムヘイズだな。
一体誰の契約者だ?」
「アラストール。別名を “天壌の劫火” とか言ったかな?」
「なに!? では、フレイムヘイズは “炎髪灼眼の討ち手” か!」
初めて驚愕らしき表情を露わにするラミーの前で、
承太郎は変わらぬ表情のまま新しくいれたグラスに口をつける。
「有名らしいな? “ソッチ” の方面じゃ」
昨日己の眼前で繰り広げられた、アラストールの凄まじい迄の超絶能力。
アレだけの力を目の当たりにさせられれば、
その異
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