暁 〜小説投稿サイト〜
STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#13
DARK BLUE MOONX 〜Dead Man's Anthology〜
[3/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、たまたま偶発的な事象が折り重なって、
それで行動を共にしているだけだ。
 DIOという、共通の敵を討ち斃すために。
 彼女は使命として。自分は宿命として。
 ただ、ソレだけのコト。
 そう想い包帯の巻かれた、己の左手を見る。
 だから、今は互いに協力関係にあるのだから、
こんな傷如きで 『あんな表情』 を浮かべる必要はない筈だ。
 誰が悪いわけでもない、同じ目的の元に行動する者ならば当然のコトなのだから。
(!)
 承太郎はソコで、己の瞳を見開いた。
(オレは今、何を考えていた?)
 らしくない事を考えたと、無頼の青年は己の側頭を掌底で何度か叩く。  
 その時。
(……!)
 いつのまにか、視界の裡にぼんやりと浮かぶ小さな灯火が在った。
 温和そうな老婦人の胸の部分、その中心で今にも消えそうに儚く揺らめく存在の光。
 異次元世界の怪物に喰われた人間の成れの果て、“トーチ”
 意図せずに瞳が尖っていたので、視えていたのだろう。
 出逢って間もない頃、シャナに拠って施された視操系 “自在法”
 一度発動してしまえば半永久的に効果が持続するのか、
今では眼を凝らすだけでトーチで在る人間とそうでない者を識別するコトが出来る。
 老婦人の脇には、夫らしき長年の男性がいた。
 もうその記憶も、感情すらも何もない筈だがその男性は大切そうに彼女の肩を抱き、
老婦人の方も幸福そうな笑みを浮かべ前に飾られた
蒼く透き通る大杯に目を向けている。
「……」
 いずれは、消え去る存在。
 やがては、忘却され逝く生命。
 ソレは何も、この女性に限ったコトではないのかもしれない。
 しかし。 
 ソレでもこの二人には、きっと良い “想い出” が在ったのだろう。
 死が二人を割かったとしても、ずっと傍にいるという 『絆』 が。
 視るべきではないと判断した無頼の貴公子は、静かにその二人から視線を逸らした。
 明日か明後日か、そう遠くない未来にあの女性は消える。
 それでも、二人に遺された僅かな時間は、この世界で二人だけのものの筈だった。
 死すべき、否、既に死した存在だからこそ、せめて最後は安らかに。 
 そう想い承太郎が二人に背を向けて立ち去ろうとする刹那、
そのタイミングがゼロコンマ一秒でも遅れていれば
後の 『運命』 は大きく形を変えたモノとなっていたのかもしれない。
 しかし、端から定められていたかの如く、
或いは最初からそう決まっていたかの如く、
その存在は彼の目の前に姿を現した。
「……ッ!?」
 トーチで在る老婦人の背後から、音も無く歩み寄る一つの影。
 事実を知らない者からするならば、ソレは周囲に無数いる見物客の一人に過ぎない。
 しかしスーツ姿のその男が老婦人にそっと手を伸ばし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ