第ニ十話。音央の決意
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全力で叫んだ瞬間、真っ白だった世界は飴細工のように砕け散った。
とはいえ、視界はまだ白いままで周りの景色すらわからない。
何も見えないし、何もわからない。
ただ……わかること。変わらないものがある。
白く染まった世界で、「モンジ……っ!」と俺の背後から祈るような音央の声が聞こえてきた。
背後の音央には絶対に影響は出てないはずだ。そう、絶対に。
何故なら______。
「ってか、何であんたの背中は塗り潰されないのよ??」
スナオちゃんがその疑問を発した瞬間だった。
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ!
突然、俺が身に付けているモノクルとスクラマサクスから着信音がけたましく鳴り響く。
「ひわ?? まさか??」
スナオちゃんが驚いている間に、それは勝手に鳴り止んで……。
『もしもし、私よ』
モノクルやスクラマサクスとなったDフォンから、電子音っぽい低くて、ゾッとするような声が聞こえてきた。
『今、貴方の後ろにいるの』
次にその声が聞こえてきたのは俺の背後。背中。
そう、そこだけは何があろうと消えない『約束の場所』。
俺を『殺す』、その日まで失うことのない絶対に存在するであろう場所。
「ほうほう! なるほどな!」
アリサがやたら嬉しそうに叫んだ瞬間、同時に俺の背後に、ピタリと寄り添う彼女の感触があった。
ああ、なる。これはなっちまう。
アウトだ。なっちまった。
『ヒステリアモード』に!
白く染まった世界に意識や体が塗り潰されようが、この『俺』の体質までは塗り潰されないようだな。
ヒステリアモードになったことにより、意識がより覚醒していくのがわかる。
そして、俺自身の可能性やら、意識、心が塗り潰されようが、俺の全身を、全てを塗り潰すことは出来ないということもわかった。俺の背中は俺『だけ』のものではないからな!
コイツは俺が他人の手によって死ぬことなんか、許してくれない。それが______。
「一之江……!」
「おっちゃんごめん!」
一之江の名前を呼んだ次の瞬間……
ザクッ!
「うおおおい??」
いきなり背中を刃物で刺された。
(内蔵避け……って、出来ねえし!)
「い、一之江さんっ?」
そんな光景を見た音央は驚き半分、嬉しさ半分の声を上げる。
すっかり音央も見慣れたみたいだけど、いきなり背中を刃物で一突きとかって……どこの武装巫女や妹さんですか?
「こんにちは。今日は『死の予兆』が溢れているということで探偵風味にしてみました」
「……探偵ならシャーロックじゃないのかよ、ってかその探偵自らおっちゃんを刺すなよ……??」
「いやぁ、おっちゃ
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