第ニ十話。音央の決意
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は薄く笑みのようなものが交ざっていて、俺の腕から抜け出した音央の、その体には薄緑色のドレスを纏っていた。そして、その背中には透明な羽が生えているのが見えた。
文字通り『妖精』となった音央の姿を見てドキっとしてしまった俺は視線を逸らす為にも一度自分の体に視線を移す。そして自身の身に起きていた変化に驚くこととなる。『妖精の神隠し』の能力を使用していた為か、俺も音央と同じ薄緑色の外套を身に纏っていることに気づいたからだ。
『不可能を可能にする男』の能力を使用していた時は気づかなかったが、今の俺は黒いスーツの上に薄緑色の外套を纏い、背中から羽を生やしていた。
______仲間の能力を自身の能力として使用できる能力。
これが……『百物語』の力かぁ。
規格外なこの力を、どう扱うべきか。
そんなことを考えながら俺はふわりと雪原の上に着地した。
背中や脇腹の痛みは一之江が離れた瞬間なくなり、ただ、ただ雪を踏み潰すギュッという音だけが響き渡る。その音が鳴る中、アリサは自分の身に降りかかっていた雪をぱっぱと手で払い落としながら帽子を被り直した。
そして、口を開く。
「うわちゃー。『アゾット剣』がまさか自らの砲撃で壊れちまうとはな」
「ってか、死ぬかと! 気がついたらわたしたちとボインたちの位置が入れ替わってて、マジで焦ったよ??」
アリサの言葉に続けて、スナオちゃんがブンブンと、両手を振りながら焦りを主張した。そんな二人の様子を静かに見ていた理亜が、視線を逸らさずにそのまま俺達に語りかける。
「『妖精の神隠し』……人と妖精を入れ替える話。だから音央さんは自分たちと私たちの居場所を入れ替えたのですね?」
「うん。今まで練習もやったこともなかったから、本当はすっごく心配だったけどね。成功するかは五分五分……ううん。もっと低かったかもしれない。だけどあの砲撃はモンジの『不可能を可能にする男』専用だったから。だからもし喰らっても消し飛ぶのはモンジだけで私や一之江さんはなんとかなるんじゃないかなー、って。「俺は??」あんたは人間辞めてるから自力でなんとかするでしょ?それに、理亜ちゃんたちに当たっても怪我くらいはしても消えたりはしないんじゃないかなー、って」
「まあな。純粋なロアである私や、そこから生み出されたアゾット剣は威力だけで消し飛ぶだろうが、スナオやリアはその力が吹き飛ぶくらいだったろうさ」
結構ヤバめな話のはずなのに、なんでもなさそうにひらひらと手を振るアリサ。そこにはもう、戦意はない……そういう態度を取っていた。
「……兄さんが先ほど指摘したように、音央さんの中には茨と飛行の能力くらいしかありませんでした。それを、あの土壇場で別
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