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101番目の舶ィ語
第ニ十話。音央の決意
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とほとんど同じタイミングで音央の声が聞こえてきて。
音央が高らかに叫んだのが伝わった瞬間。
ソレ(・・)は起きる。

「うっわ」

「ひゃあああああ?? 目の前にでっかい光が迫ってくるー??」

先ほどまで俺達に迫っていた光の砲弾が向かった先は俺達ではなく、撃ったアリサ達目掛けて迫っていた。
一体何が起きたんだ?
ヒステリアモードの視界でも、突然の事で理解が追いつかない。
まるで俺達とアリサ達の位置が入れ替わったかのような状態に……ん?
位置が入れ替わった?
まさか。
と、ヒステリアモードの俺が考え事をしていたその時。

「とりゃっ!」

スナオちゃんが理亜とアリサ、かなめの体を赤いマントに包んでその光が到達するギリギリのタイミングで姿を消すのが見えた。理亜やかなめの身の心配はあまりしていない。何故なら彼女達にはあの子が付いているのだから。
『怪人赤マントは少女を攫う』……その『逸話』がある限り、彼女は少女を攫えるのだから。

ズガアアアァァァン??
アリサの『アゾット剣』とそこから放たれた『夜話』を込めた『死の一撃』。『絶死の結末(デッドエンド)』が激突し合い、激しくぶつかりあって巨大な爆発音と衝撃を辺り一体に巻き起こす。
(______ッ??)
これはマズイと思い。
俺は『妖精の羽(ティンカーベル)』を展開したまま、空中で身を翻すように反転すると、背中にいた一之江や音央達を守るように彼女達を腕の中に抱きしめた。
突然の俺の行動に一之江はビクッと動き、俺の脇腹に刃物で刺されたかのような痛みが感じたが、俺はそんな痛みなんか気にせず、一之江の姿を見ないように気をつけながら彼女の小さな体を腕いっぱい回して抱きしめた。音央は「ひゃう??」などと、悲鳴のような声をあげたが、空いてる手を音央の腰に伸ばし、抱きしめた。
放すものか!
二人は……仲間は死んでも守る。
『あっち』の『俺』の分まで、な。
それも本来の一文字の代わりに戦う『俺』がした『覚悟』の一つだ!
背中に爆発により発生した熱風や衝撃に耐えると。
「ぷはぁ!」と眼下の雪原から声が聞こえた。
見下ろすと、雪の中からスナオちゃんと白い帽子が飛び出していた。
彼女がその帽子を引っ張ると、雪まみれのアリサがズボッと抜けて出てきた。
そのアリサの両隣には、理亜とかなめがぺたんと雪の上に座り込んでいるのが見える。

「『妖精のロア』が持つ本来の力に目覚めたようですね」

俺の腕の中で一之江がもぞっと動き、俺の腕からするっと抜け出すと音央に問いかける。

「うん。鳴央とセットじゃなくて。あたしはあたしだけでも戦える『ロア』になるわ」

「はい。嫌になったらいつでも言って下さい。殺して差し上げますので」

そう言う一之江の吐息に
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