第6部 贖罪の炎宝石
第1章 帰省
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だと言い放つ。
「同じ『火』の使い手として、恥ずかしいですわ』
コルベールはしばらく顔を伏せていたが、そのうちに持ち上げた。
「ミス……、いいかね?日の見せ所は……」
「戦いだけではない、とおっしゃりたいのでしょう?もう聞き飽きましたわ」
「そうだ。使い方次第だ。現にこの『ゼロ戦』というウルキオラ君の世界の……」
「臆病者の戯言にしか聞こえませんわ」
ぷいっと顔をそらし、キュルケはタバサを促すと、歩き去っていく。
コルベールはその背を見守りながら、寂しそうなため息を漏らした。
研究室に戻り、椅子に座る。
コルベールはしばらく考え事をしていたが……、いろんなものが雑多に積み上げられた机の引き出しを、首に下げた鍵を使って開けた。
その引き出しの中には小さな箱があった。
それを取り上げ、ふたを開いた。
炎のように赤く光るルビーの指輪があった。
目を凝らすと、揺らめく炎がルビーの中に見える。
その炎を見ていると、二十年前の出来事がありありと蘇ってくる。
脳裏に映る光景は、未だ色あせることなく鮮やかだった。
その鮮やかに光る炎が……、コルベールを責めさいなむ。
一瞬たりとも、忘れることのなかった光景……。
それからコルベールは、研究室内を見回した。
外観はみすぼらしい掘っ立て小屋だが、ここには彼が先祖伝来の屋敷や財産を売り払って手に入れた、様々な道具や秘薬で溢れている。
それらを眺めながら、コルベールは苦しそうに呟いた。
「破壊だけが火の見せ場ではないのだ……そうだろう?…ウルキオラ君…」
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