第6部 贖罪の炎宝石
第1章 帰省
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…」
言い返そうとして、ほっぺをつねられる。
エレオノールは昔のように、完全にルイズを子ども扱いであった。
昔そう呼び習わしたように、おちび、と連発する。
「でも?はいでしょ!それに、あなたの使い魔についてもきちんと説明してもらいますからね!」
さすがは姉妹。
いつもルイズがウルキオラに取っているような口調そのものであった。
ルイズはまったく逆らうことができずにいた。
「ふぇ、うぇ、あだ、あねさま、ほっぺあいだだ……。あう……」
と情けない声をあげるのであった。
いつになっても呪文が飛んでこないので、ウルキオラは警戒を緩めた。
どうやら、後ろの馬車の中で、エレオノールとかいう女にしごかれているのだろう。
因果応報という言葉がよく似合う。
ウルキオラにくっついているうちに、楽しくなってきてしまったらしいシエスタは、屋根がないことも忘れて、再び嬉しそうにウルキオラの腕に身体を摺り寄せた。
「ねえねえ、ウルキオラさん」
「何だ?」
「旅行って楽しいですわね!」
「離れろ」
ウルキオラは再度交渉を試みた。
しかし、ウルキオラは裏腹にこれからのことを考えていた。
アンリエッタは戦争を計画している。
トリステイン側からアルビオンへ仕掛けるつもりらしい。
ルイズと共に参加するように言われた。
人間の戦争などに興味はないが、ルイズが参加するのであれば、参加を考えていた。
正直どっちでもよかった。
ウルキオラがそんな風に上の空で考え事をしているのを見て、シエスタが曇った顔になった。
「いやだわ」
「何がだ?」
「ウルキオラさんも、アルビオンに行くんでしょう?」
「ルイズが行けばな」
どうやら、今までのシエスタの明るい態度は、ウルキオラを元気づけようとしての事だったらしい。
まあ、ウルキオラはそこまで思いつめてはいないのだが……。
「わたし、貴族の人たちが嫌いです」
「なぜ?」
「自分たちだけで殺し合いをすればいいのに……。私たち平民も巻き込んで……」
「アンリエッタ曰く、戦争を終わらせるためだと言っていたがな」
アンリエッタの言葉を思い出し、ウルキオラは呟いた。
「終わらせるためだろうが始めるためだろうが、戦は戦です」
「確かにな。だが、話し合いでどうこうなる状況でもないのは事実だ」
シエスタは黙ってしまった。
それについでウルキオラもだんまりを決め込んだ。
この前のタルブの戦は、戦う理由があった。
『元の世界への手がかりがあった、村を守る』という、そんな理由だ。
しかし、今度のアルビオン侵攻には理由がなかった。
俺
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