第6部 贖罪の炎宝石
第1章 帰省
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
おうとしたその瞬間、
馬車の屋根が吹き飛んだ。
吹き飛んだというより、中に爆薬を仕込まれて粉々に爆発した、といった感じであった。
とにかくウルキオラ達の馬車は屋根付きから、オープントップへ変貌した。
ウルキオラは落ち着き払った様子で後ろを振り返る。
そこには、ウルキオラたちが乗ったものより一回り大きい、二頭立ての立派なブルームスタイルの馬車が走っていた。
その馬車から何かどす黒いオーラが立ち上っているようにウルキオラは感じた。
そして、軽くため息をつく。
おそらく、目的地に達したら、グチグチと小言をいわれるだろう、と思った。
わあわあ!天井がぁ〜!とシエスタが絶叫しながら抱き着いてきた。
「シエスタ」
「なな、なんでしょう?」
「離れろ。猛獣が暴れそうだ」
ウルキオラは引きはがす口実ができたと思ったが、それが裏目に出てしまった。
がばっと抱き着いてきて、
「ウルキオラさんが守ってくれますよね?」
と、上目遣いで言ったあと、ウルキオラを押し倒した。
ウルキオラはシエスタの押し倒されながら、
「面倒なことだ」
とつぶやいた。
さて、ウルキオラたちの後ろを走る、そんな立派な馬車の窓からは……。
ルイズが首を突き出して茶色の年代物の杖を構え、呼吸を荒くしてわなわなと震えている。
ウルキオラ達の乗った馬車の屋根は、ルイズの虚無魔法『エクスプロージョン』で吹き飛ばしたのであった。
後ろの窓から、中の様子は丸見えであった。
シエスタとウルキオラが中で抱き合ったり顔を近づけあったり、首筋にキスをしたりしている間、ルイズは馬車の中で震えながら見守っていたのである。
でもってついに、ウルキオラの耳たぶにメイドの唇が及ぶにあたって、怒りが爆発したのである。
ウルキオラにキスなんか許せないのである。
屋根を吹き飛ばしてなお、シエスタが抱き着いていることに気づき、ルイズの目が吊り上がる。
さらに呪文を詠唱しようとすると、足を引っ張られた。
「きゃん!」
と叫んだ後に、ルイズは頬をつねりあげられた。
「いだい!やん!あう!ふにゃ!じゃ!ふぁいだっ!」
あの高慢の塊のようなルイズが、文句も言えずに頬をつねりあげられている。
そんな風にルイズの頬をつねりあげたのは……、見事なブロンドの女性であった。
歳の頃は二十代後半だろうか。
どことなく、顔立ちがルイズに似ていた。
ルイズの気の強い部分を煮詰めて、成長させたらこんな顔になるのではないのか?といったような、割ときつめの美人であった。
「ちびルイズ。私の話は終わってなくてよ?」
「あびぃ〜〜〜〜〜〜、づび
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ