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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十四話 居場所
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ょう。早ければ十一月の二日か三日にはブラウンシュバイク星系に着くものと思います」

「リッテンハイム侯はさらに四、五日かかりますね。それでも十日になる前には着きますか」
「……」
元帥が無言で頷いた。

「元帥、貴方は言いましたね。早ければ早いほど貴族達の暴発から逃れる事が出来ると、遅くとも十一月の下旬には準備を整えておく必要があると」
「はい」

「間に合うと思いますか?」
「……小官には、なんとも判断しかねます」

それからの一時間は元帥にとっては辛い時間だったと思う。公爵夫人は元帥にブラウンシュバイク公を助ける方法を問い続け、エリザベート様は泣きそうな表情で元帥を見詰めている。

元帥は公爵夫人に対してはっきりした事は言わなかった。助ける方法が無いからなのか、それとも助けるつもりが無いからなのか、私には分からない。しかし帰るときの元帥は全くの無表情で、私を見ることも無く部屋を出て行った。気付かなかったのだろうか?

元帥が出て行った後、公爵夫人は一つ大きく溜息をついた。そして私に視線を向けた。
「ユスティーナ、貴女は元帥とは恋仲と聞きましたが?」

思いがけない公爵夫人の問いに思わず頬が熱くなった。どう答えれば良いだろう、わからないまま、ただ顔を見られたくないと思って頭を下げた。

「そのような事は……」
「無い、と言いますか?」
「いえ、良く分かりません」

そう、良く分からない。
「元帥は貴女を見ましたか?」
「……見ませんでした」

「見ませんでしたか……。辛かったのでしょうね」
「?」
「好きな女性の前で情の無い姿を見せるのです。貴女の気持ちを思うとやりきれなかったのでしょう」
「……」

「若いのに手強いですね、元帥は。貴女の前なら多少は情を見せるかと思ったのですが、そんなところは微塵も無い。リヒテンラーデ侯が彼をここへ寄越すのが良く分かります」
「……」

「エーレンベルクやシュタインホフでは私達に同情してしまう、怯んでしまうと思ったのでしょう」
「もしやと思いますが、私に同席を御命じになったのは」
「ええ、少しでも有利になればと思ったのですが無駄でした」

そう言うと公爵夫人は微かに苦笑した。そして天を仰いで呟いた。
「あまり状況は良くないようですね、エリザベート。もしかするとお父様とはもう会えないかもしれません」

「お母様」
エリザベート様が泣きながら公爵夫人に抱きつく。公爵夫人はそんなエリザベート様を優しく抱き寄せた……。


帝国暦 487年10月31日   オーディン 装甲擲弾兵総監部 ヘルマン・フォン・リューネブルク


妙な事になった。オフレッサー上級大将から俺に十一時に装甲擲弾兵総監部へ出頭しろと連絡が入った。オフレッサー
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