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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第62話:情報と金は使い方が肝心。
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った場合の対応は?」
「切り捨てる! 我が国は彼の国にスパイを送ってないと言い張る。100%信じないだろうね……他にもスパイが居るって噂を故意に流すから」
「なんでそんな逆効果なことを!?」
「逆効果じゃ無い。こうすることでホザックはグランバニアに大規模な戦争を仕掛けられなくなる。スパイってのは、その幻影だけでも利用価値があるモノなんだ。だから君には他のスパイの情報は与えない……ホザックが君を拷問しても喋れないように、何も情報は与えない。だから長生きできると思うよ……生きるって事だけだろうけどね」
普通、困難な仕事をやらせたい場合は、相手を脅かすのは拙いと思うんだけど、リュカさんはトコトンまで正直に答える。
俺なら絶対に断るね。
「まぁ聞いての通り、リスクが一方的に大きく、リターンは確実じゃ無い。こんな機密保持の緩い国でも、盗みを失敗するお前には危険が大きすぎると思う。ムリに引き受けなくても良いよ……もっと有能な奴は沢山居るから」
「……そ、そんな風に煽ったら、私がムキになって引き受けると思ってるの!?」
流石に仕事内容がリスキーすぎて、自尊心を擽っても首を縦には振らない。
でもね……誰を相手に駆け引きしてると思ってるんだい、マオさん。
今、貴女が相手にしてるのはリュカさんなんですよ。神様だって頭が上がらないんですよ!
「別に煽ってないよ。僕が君をスパイにしたいのは、ドジって捕まり拷問されて
あの国
(
ホザック
)
に疑心暗鬼を生じさせる為なんだから。君ほどじゃなくてもドジな奴は沢山居るから大丈夫。断っても良いよ。でも……」
興味なさげにマオさんを突き放すと、リュカさんは徐に立ち上がり応接室に配置してあるキャビネットへ行き、中に仕舞っておいた5万
G
(
ゴールド
)
の札束を取り出しテーブルへ無造作に置いた。
「必要経費にと思って金を用意したけど、やらないのならこの金は渡さない。昨日持ってった1万
G
(
ゴールド
)
も返してよね……あれはスパイの契約金なんだから」
酷いなぁ……確かに契約金とも言ったけど、くれてやるとも言ってたのに。
「うぐっ……ズ、ズルいわよ! 昨晩はくれるって言ったじゃん!」
「うん、言ったんだけどね……良く考えたら、君ヘッポコじゃん。何で意味もなく1万
G
(
ゴールド
)
をあげなきゃならないの?」
何でリュカさんが聞いてんの?
さて如何するマオさん?
俺なら断るだろう……だって俺にはスパイの能力も泥棒の才能も無いから。
でも貴女はどちらも持っている。
リュカさんは頻りに貴女をヘッポコ扱いするけれど、この国に来なければ貴女はその能力で一財産築けたハズだ。
そう……リュカさんの『女の顔は絶対に忘れない』って能力が無ければ、誰にも気付かれること無く泥棒を続けられたハズなんだ!
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