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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#12
DARK BLUE MOONW 〜Harmit Tracer〜
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笑顔を崩さぬまま前に向き直ると己の右手を高々と頭上に掲げる。
 そして。
隠 者 の 紫(ハーミット・パープル)ッッッッ!!!!』 」 
 壮烈な声でそう叫び、ソレと同時に掲げた右の掌中から
深紫色をした無数の(いばら) が何の脈絡もなく飛び出した。
 周囲に同色の高圧電流のような光を帯び、
その眩耀に拠ってこの世のスベテを見透かすかのように。
 再び眼にする、己とは違うこの世ならざる異能の発現系にマージョリーは
想わず息を呑むが、脇にいる花京院から静かにと眼で諭される。
 すぐさまに老人はその無数の茨を纏った紫の手刀をテーブルの上に置かれた
一眼レフカメラに向け、空間に弧を描く軌道で振り下ろす。
 手撃そのものは当たらず周囲に纏った茨のみがカメラ内部を透化して
反対方向へと突き抜ける。
 やがてシャッターを切ったワケでもないのにフラッシュが(たか)れ、
中から無機質な電子音と共に一枚の写真が吐き出された。
 ジョセフはソレを左手で摘み上げ室内の照明に透かしながら感光具合を確かめ、
「まぁ、こんなカンジかの?」
と背後の美女に手渡した。
「!!」
 見開かれる美女の瞳。
 ずっとずっと追い続けてきた因縁の敵。
 ソレが、はっきりと写真の中にいた。
 淡い照明の降り注ぐどこかの建物の中。
 ガラス工芸らしいアンティークに囲まれた空間の中心に。
 己のイメージをそのまま紙に投射した、
マルコシアスの自在法とは明らかに次元が違う。
はっきりと、今現在の居場所が正確に映し出されている。
 しかも背景までもが鮮明に写っているため、
ソコから位置を特定するコトも可能の筈だ。
 右下に他人のコートの裾らしきモノが映っているが
別に気にもならない。
「ノリアキ!!」
 鬼気迫る勢いで向き直る美女の視線を真正面から受け止め
花京院もその写真を覗き込む。
「ふむ、流石ですね。 “アノ男” の時とは違いキレイな映り方だ。
でも、まだ現像は終わってはいないようです」
 そう花京院に促され視線を戻す美女。
(!?)
 写真の右斜めの位置に、ボンヤリとやがて鮮明に像を結ぶモノがあった。
 不定型なジグソーパズルのピースを一定の間隔を置いて設置したかのような、
簡易の街路図のようなモノがソコに追記されている。
「これは!?」
「言うまでもなく、この街の 『地図』 です。
この×印の部分に、目当ての人物がいるというコトでしょうね。
微細な振動を繰り返していますが、
ソレはこの建物の内部を移動しているというコトで外には出ていないのでしょう」
「――ッ!」
 もうコレ以上ないというくらい正確無比な情報に、
マージョリーは歓喜でそのルージュの引かれた口唇を軋ませた。
「今度こそもう逃がさ
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