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第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#12
DARK BLUE MOONW 〜Harmit Tracer〜
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たくはなかったのですが、致し方在りません」
「あの人?」
 怪訝に眉を顰めるマージョリーに、花京院は告げる。
「その存在を知っている者で在るならば、
“この世のどんな者でも捜し出すコトの出来る人物です”
ボクと同じ 『スタンド能力者』 しかし戦いの年季では遙かに勝ります」
「んな便利なヤツがいんなら何で最初から使わねーんだよ?
こんな七面倒くせぇコトやらずによ」
 マージョリーの腰元でマルコシアスが当然の疑問を口にすると花京院は視線を伏せ、
お前が原因だとでも言うように 『本』 へと顔を寄せた。
「マルコシアスさん」
「あぁ? マルコでいーぜ。
オレ達ァ親友(マブダチ)だろ? カキョーイン」
「そうなんですか……」
 瞳を細めたまま花京院は呟き、自分が知る紅世の王との相違に
釈然としない気分になる。
「ではマルコシアス。貴方にお願いがあります。
“絶対に喋らないでください” これから起こるコト、起きたコト、
何が在ってもスベテです」





【2】

 目当ての人物はやはりホテルの部屋にいた。
 ドアをノックし自分だと告げると二つ返事で扉が開かれた。
 しかし来訪者は自分だけではなくその背後の存在を認めると
おお! という声と共に少々目を白黒させながらも、
やがて紳士的な応対で部屋の中へと招き入れられた。
 脇に大きめのコーヒーカップが置かれた白い大理石のテーブルには
見たこともない大仰な海図や船舶の詳解書、海洋資料等で溢れ返っている。
 コレだけ大変な仕事を一人任せにしてしまったコトへの後ろめたさで
表情を曇らせる花京院とは裏腹に、部屋の主ジョセフ・ジョースターは
若い者はもっと世界を知らねばならん! と言って送り出した時と全く同じ表情で言う。
「花京院、お主もなかなかスミに置けんのぉ〜。
香港の街に出るやいなや、こんな美人と連れ添ってくるとは」
 ジョセフは小声でイジワルそうに話し、白い健康な歯を剥き出しにしたまま
うりうりと肘の先で花京院の薄い胸をつつく。
「フフッ、そんなんじゃありませんよ。
何というかまぁ、人助けのようなモノです」
 そんなジョセフの冷やかしを穏やかな表情で受け止めながら、
中性的な美男子は静かに返した。
「なんじゃ、そうなのか? それはまた、なんとも勿体ない」
 そう言いながら上へ下へとシゲシゲと自分を見回すワイルドな風貌の老人を、
美女は一言も発さず何? このジジイという仏頂面で見下ろしていた。
 そんな両者の対照的な態度を後目に、花京院は制服の胸ポケットから
一枚の写真を取りだしジョセフに手渡した。
「単刀直入に言います。この写真の男性なのですが実は、」
 んん? と言いながら写真の老紳士に視線を送るジョセフ。
 その彼に
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