ターン54 炎の幻魔と暴食の憑依
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返る。僕も三沢もここで逃げようと思えば逃げられるかもしれない……だけど、もしここで逃げだしたらマルタンが食料と交換してまで欲しがったこの発電所は恐らく徹底的に壊されるだろう。あの目はそういう目だ。
「なら、ここはデュエルで!」
当然肌身離さず持ち歩いていたデュエルディスクを構えようとしたが、それよりも先に三沢が前に出た。
「まあ待て、清明。お前にはその、デスベルトとやらが付いているんだろう?今年度の授業が始まる前に休学した俺に、その装置はない。つまり、ここは俺の出番というわけだ」
そう言って、アカデミアにあった予備の旧式デュエルディスクをガシャンと起動させる三沢。これで案外頑固なところもあるこの男のことだ、何言っても聞きはしないだろう。
「清明、お前はそこのコードを繋げておいてくれ。何本かショックで外れたところがあるから、それをくっつけるだけでいい。感電には気をつけろよ!」
「了解!」
言われたとおりに駆け寄ると、素人目に見てもコードを繋ぎ直した程度でどうこうなるものではないことは明らかだった。僕てもできる作業ということで最大限妥協した指示だったんだろう。すまない三沢、うちの神様共々機械オンチで。とにかく何十本もあるコードを適当に手に取り、どれがどこと繋がるのかを確認にかかり始めたところで、後ろからデュエルの声が聞こえてきた。
「「デュエル!」」
「先攻は俺が貰う。来い、きつね火!」
きつね火 守200
「まずは、これでターンエンドだ」
きつね火……あのカードを三沢が使うのは、僕も見たことがない。おそらくあのデッキは、三沢の使う6つの属性デッキの中でもこれまで使われることがなかった1つ、炎属性の物ということだろう。
「俺のターン、ドロー」
あ、喋れんのかコイツ。サンドモスなんかは一切人語ができなかったのに、ここら辺の区分はつくづくよくわからない。とはいえそのアクセントや発音にはやはりどこか違和感があり、目の前の存在がやはり人外であることが感覚的に伝わってくる。
「ボタニティ・ガールを召喚し、きつね火ニ攻撃スル」
椿の名を持つ人型の花が、にやにやと笑いながらその花弁を飛ばしてきつね火を襲う。
ボタニティ・ガール 攻1300→きつね火 守200(破壊)
「カードを1枚セットして、ターンエンドシヨウ」
攻撃力1300のボタニティ・ガールをまるで三沢を挑発するかのように立たせておいたまま、ターンを終える謎の精霊。しかしその宣言と同時に、三沢の目の前に小さな炎が灯る。
「きつね火は表側表示で戦闘破壊されたターンのエンドフェイズ、俺のフィールドに蘇るモンスターだ。残念だったな、攻撃が無駄になって」
きつね火 守200
三沢
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