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水の国の王は転生者
第三十六話 要塞都市リュエージュ
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その甲斐あってかトラブルは無く、内乱中とは思えない平穏な時間をすごした。

 ……

 内乱発生から2ヶ月すると戦況は王党側に傾いていた。

 初戦でマクシミリアン軍が有力貴族を倒して回った為、連戦連敗の反乱軍に組しようという奇特な者は無く反乱軍の敗北は決定的になっていた。

 追い詰められた反乱軍を討伐すべく王軍も出動し各地での戦闘で反乱貴族の領地は全て占領された。
 その為、反乱軍は拠点になるものを失い各地で盗賊紛いの略奪を行い、討伐に来た王軍に蹴散らされ逃げ回っている始末だった。
 逃げ回っていても、依然反乱軍は有力な軍隊を有しており内乱が長引けば諸外国が介入してくる可能性もあり、早急に鎮圧する必要があった。

 そんな現在、マクシミリアン軍は編成を終えたものの、未だにリュエージュに駐屯中だ。
 内乱の隙を付いて国境のゲルマニア軍がそろそろ動き出しそうな雰囲気の為、国境の防衛という王宮側から正式な命令が届いた。

 別の見方をすれば、マクシミリアン軍は反乱鎮圧のメンバーから外されたとも言える。

 王子が頻繁に戦場に立つのは好まないと言った思惑が絡んだのだろうし、王軍の将軍達からすれば、自分達の活躍の場が奪われるのを懸念したのだろう。

 そこでマクシミリアンはこの期に、国境近くの要衝の街であるリュエージュに近代的な要塞を建設する事を打診し、王宮もこれを承諾し、建設用の物資を送ると通達があった。

 リュエージュ要塞建設の指揮を取るのは工兵隊隊長のグリアルモントという男だ。
 この男はかつてトリステイン全土を要塞化させようと王宮に陳情したが、突っぱねられてしまい、へそを曲げて軍を退役。軍事関係の同人誌を書いていた所をマクシミリアンの人材センサーに引っ掛かり工兵隊隊長として迎え入れられた経緯があった。

 現在の要塞建設の進行状況は0%で、計画に基ずいて縄張りの真っ最中だった。

 グリアルモントの計画ではリュエージュ市の周りに無数の要塞を立て、地下通路などでネットワークを構築し縦深防御を可能にする予定で、完成まで5〜10年以上掛かると言われた。
 また、要塞建設に伴い地質調査をした結果、リュエージュ周辺は豊富な地下資源が眠っていることが分かった。
 以前から鉱山の可能性有りと報告は上がっていたが、かつての魔法至上主義のトリステインでは見向きされなかった。
 だがそれは昔の話。
 マクシミリアンの音頭で、要塞建設に利用される物資の調達の為、鉄の精錬や金属加工といった工業化が進み、戦後リュエージュは城塞都市と同時にトリステインでも指折りの工業都市として知られるようになる。







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