十二話:水族館
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かべ続ける。
「……本当に?」
「ホントだよ」
「エドモン君、私を抓ってください。どうやら性質の悪い夢を見ているようです」
「諦めろ。ここは夢でもなければ地獄でもない。現実だ」
「そんな…うそ…信じられない」
必死に否定しようとするが何も変わらない。
現実とは常に非情なのだ。
「もー、信用ないなぁ。それならこれでどうだ!」
いつまでも信じようとしないジャンヌに業を煮やしたアストルフォがぐだ男の手を掴む。
そして、そのまま自身の胸へと彼の手を導いていく。
「どう? これでわかるでしょ」
『……いくら小さくてもブラジャーは着けた方が』
「もー! ふざけないでよー! こうなったら一緒にトイレに行って―――」
「わ、分かりました! あなたが男性なのは分かりましたのでもう結構です!」
ジャンヌは下を脱いで見せると言おうとしたアストルフォを慌てて止める。
このままでは男同士の怪しげな絵が完成してしまうと恐れたからだ。
「やっと分かってくれた?」
『よかったね。信じてもらえて』
「ぐだ男はあんまり驚かなかったね」
『アストルフォはアストルフォだし。どっちでも変わらないよ』
男でも女でも親愛の念は変わらないという言葉にアストルフォは嬉しそうに頬を染める。
「そっかー、そっかー、でへへ……。ボクも君がどっちでも好きだよ」
『……やばい。もう性別とかどうでもいい気がしてきた』
「ダメです、ぐだ男君! そんなことは主がお許しになりません!」
蕩けたような表情を向けられ危うく理性が崩壊しそうになるぐだ男。
何とか首筋を赤らめたジャンヌの言葉により、一線を越えることなく止まる。
しかし、次も今回のように止まれるかはぐだ男自身にも分からなかったのだった。
「何だか一気に疲れた気がします。今まで彼を女性だと思っていた私は一体……」
『仕方ない。あれは見破れない』
「そもそも理由がフラれて全裸になった友人を宥めるために女装したなんて…理解が追いつきません」
衝撃の真実に未だにショックから立ち上がれないジャンヌを慰めるぐだ男。
現在二人はイルカショーを見るために屋外プールに来ていた。
因みに残る二人はエドモンが気を利かせて別の場所を回っている。
『ローラン……まさか目覚めたのか?』
「その人のことは良く知りませんがなんとなく危険な人のような気がします」
まだあったことのない全裸のことを密かに訝しみながら二人はジュースを飲む。
まだ、ショーが始まるまでは時間があるのだ。
『それにしてもなんで初めにアストルフォじゃなくて俺の性別を疑ったの?』
「その、なんと言いますか。頭の中にオレンジ色の髪の女性が
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