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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十九話 マリーンドルフ伯の戦慄
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ているから二人に遠慮しがちです。余り良い傾向だとは思えません」
「……それは」
ラインハルト様は何か言おうとしたが結局口ごもってしまった。確かに司令長官の言う事には一理有るかもしれない。私とラインハルト様はずっと一緒だった。本来なら有り得ない事だ、特例だという事はわかっている。
私の能力はともかく、周囲が私とラインハルト様に遠慮しがちなのも事実だ。もっとも私自身は今の境遇に不満を持っているわけではない。このまま副官でも構わない。私が恐れるのは、私がラインハルト様のお役に立てなくなることだ。
「ずっと離れ離れになるわけではありません。私のところで参謀任務や分艦隊司令官を務めたらそちらにお返しします。一年有れば十分でしょう」
「……」
「この場で回答を、とは言いません。ですがお二人にとって悪い話ではないと思いますよ。考えてみてください」
そう言うと司令長官は“邪魔をしました”といって席を立った。これから宮中に行くのだという。何でもブラウンシュバイク公爵夫人、リッテンハイム侯爵夫人から呼び出しが有ったらしい。司令長官は文句の一つも言いたいのでしょう、と言って部屋を出て行った。
「どうしたものかな?」
ラインハルト様が戸惑うような口調で呟いた。何処と無く気弱な視線で私を見ている。ラインハルト様も司令長官の言葉に一理あるのを認めているのだろう。
一年か……。門閥貴族との対決が終了するまでという事だろうか。その期間離れ離れになる。これまでずっと一緒だった、耐えられるだろうか?
帝国暦 487年10月22日 オーディン 新無憂宮 フランツ・フォン・マリーンドルフ
「それで、私はどうすれば良いのです?」
「まあ、御婦人方の機嫌を取ってくれれば良いのだ」
「女性の相手は苦手ですよ、私は。特に高貴な女性の機嫌を取るなど真っ平です」
「そう言うな、私とて苦手だ」
互いにうんざりした口調で話し合っているのは、国務尚書と宇宙艦隊司令長官だ。司令長官は不機嫌そうな表情を隠そうともしない。国務尚書はそれ以上に苦りきった表情だ。
「最初に呼ばれたのはリヒテンラーデ侯なのでしょう? 侯が抑えてくれなければ」
「私の説明では納得せんのだ、軍事の専門家を呼べとのことだ」
何処か他人事のようにリヒテンラーデ侯が司令長官に答えた。
「エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥には頼まなかったのですか?」
「二人とも急用が出来たと言ってな、卿を推薦してきた」
司令長官が好意の一欠けらもない視線で国務尚書を見たが、国務尚書は気にする様子もない。
当初、リヒテンラーデ侯がブラウンシュバイク侯爵夫人、リッテンハイム侯爵夫人に呼ばれ色々と質問されたらしい。侯がどういう答えをしたのかは知らないが両夫人は納
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