第二章
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「ここは観光地ですからね。観光地といえば」
「そうしたお店もあるものだね」
「はい、じゃあどういったお店がいいですか?」
「日本みたいなお店はあるかな」
インドネシア風も勿論好きだがそういったお店は既に何度かの旅行で堪能している。そして知っている。彼がここで尋ねたのは日本風の店だったのだ。
「そういったお店は」
「日本ですか」
「例えばメイドさんがいるとか」
彼はメイド喫茶も好きだ。節操はない。
「そうしたお店は」
「メイド?ああ、メイド喫茶ですね」
「バリ島にもあるかな、メイド喫茶」
「ありますよ。日本から戻った人が経営していまして」
「おっ、じゃあ話は早いね」
津田は彼の言葉に満面の笑顔になった。彼は風俗だけでなくメイド喫茶も大好きだからこうした話はまさに朗報だった。そうして、だった。
彼はスタッフにその店の場所と名前を聞いた。そうしてその日の仕事が終わってすぐに店に向かった。店は繁華街の中にあった。
店の名前はサテライザー。その日本のメイド喫茶らしい可愛らしい感じの看板、ただし言葉はインドネシア語のそれを見てだ。彼は案内してくれたスタッフに言った。
「わかってるね」
「わかってますか」
「うん、名前の雰囲気も看板もいいよ」
こうだ。そのピンク色の地に可愛く白い文字で書いた看板を見ながらスタッフに話す。
「久々にいいお店に出会えそうだよ。こういうのが本当のメイド喫茶なんだよ。最近のメイド喫茶は看板からして何か勘違いしてるから困るよ」
「看板でわかるんですか?」
「僕程になればわかるよ」
つまりそこまで遊んできているというのだ。
「何しろ生活費以外の殆どは遊びに使ってるからね」
「遊び人なんですね」
「生粋の遊び人だよ」
胸を張っての言葉だった。
「その自覚はあるよ」
「そうですか。何かイタリア人みたいですね」
「けれど日本人だよ」
「あまりそうした感じはないですね。何か」
スタッフはここで彼の顔とスタイルを見た。よく見ると。
「何か日本のアニメのキャラクターみたいですし」
「ルパン三世かな」
「インドネシアでも放送されてましたよ」
「日本でもよく言われていたよ」
ルパンに似ているとはだ。彼はいつも言われているのだ。
「本当によくね」
「はい、本当にルパンですね」
「一世じゃなくて残念だよ」
津田は苦笑いと共に述べた。
「三世は三枚目だからね」
「一世だと怪盗になりますよ、正真正銘の」
「けれど凄くダンディじゃないか」
それがアルセーヌ=ルパンの魅力だ。ダンティでしかも紳士だ。それ故に今も人気があるのだ。ただの怪盗ではない、そうしたキャラクターなのだ
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