第一章
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侮ると怖い
日本人が女好きかどうか。おそらく世界的に見てはその部類に入らないだろう。
だが彼は違っていた。この津田知己はだ。はっきりとした女好きだった。
背は高く顔立ちもはっきりとしている。髪の毛は多くもみあげになりそうだがそれは奇麗に剃っている。背筋もしっかりとしていて姿勢がいい。仕事ができ明るい性格だ。
だがそれでもだ。彼はだ。
趣味は風俗通いにアダルトビデオ鑑賞、そしてエロサイト巡りと誰がどう見てもわかるそうした人間だった。はっきりとした女好きであった。
とりわけホテトルが好きでだ。常にだった。
「あの店のあの娘が最高だったよ」
「金糸町だとあのホテル、十三だとあのホテル」
彼の勤務先である福岡の中洲はもとよりだ。出張先まで押さえていた。とかくそうしたことにも余念がないというかある意味において困った人間だった。
その細長い確かに猿に似ているがはっきりとした顔は悪くはない。だがそれでもあまりにも強烈な女好き故にだ。彼は同僚達からやや困った評価を受けていた。
その彼がだ。ある日上司にこう言われた。
「インドネシアですか」
「そこの支社に転勤になったぞ」
「また急ですね」
津田はまずはだ。こう上司に返した。
「私がインドネシアとは」
「そうだな。場所はバリ島だ」
「あっ、バリ島ですか」
バリ島と聞いてだ。彼はすぐにだった。
何かを期待する顔になってだ。丈氏に返した。その返した言葉はというと。
「実は私何度かバリ島に行ったことがあります」
「そういえば君の趣味は旅行だったな」
「はい、あそこはいい場所です」
「どういった意味でいい場所だというのかね」
「可愛い娘が多いです」
実は上司も予想していた返答だった。
「褐色の肌で目鼻立ちの奇麗な」
「やれやれ、またか」
「またと仰いますが」
「わかっていると思うがおかしな病気には気をつけてくれよ」
上司は仕方ない奴だ、といった苦笑いで彼を見ながら話す。
「いいな」
「はい、それはもう」
「そうした病気のことは既に把握しているか」
「病気になったら遊ぶこともできないじゃないですか」
まさにだ。通の言葉だった。
「それこそ梅毒やエイズになれば」
「梅毒か」
「個人的にはエイズより気をつけています」
「鼻が落ちるらしいからな」
上司は実際にそうなった人間は見ていない。伝え聞くところだ。だが梅毒が恐ろしい病気であることは紛れもない事実だ。歴史にもある通りだ。
「そして頭がおかしくなってだったな」
「死にます」
「そんな死に方はしたくないものだ」
上司は津田の前で腕
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