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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十七話 余波(その3)
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が我々を一度見てからスクリーンに視線を向けた。
「何事かね、グリーンヒル大将」
『先程、憲兵隊によって地球教団支部を捜索しようとしたところ、教団側は反発し火器によって攻撃してきたそうです。現在、地球教団支部にて憲兵隊と地球教徒との間で激しい戦闘が起きています』
「分かった。手を緩めることなく取り締まってほしい」
『はっ』
スクリーンが切れた。シトレが我々に視線を向ける。
「これで地球教の有罪が確定した。我々は帝国との協力体制を維持しなければならない」
その言葉に皆が頷いた……。
帝国暦 486年 9月16日 オーディン オフレッサー元帥府 ラインハルト・フォン・ミューゼル
オフレッサーは宮中から戻ると俺とリューネブルクを自室へ呼びつけた。部屋に入るとジロリとこちらを睨む。酷い悪人面だ、機嫌が悪いのが一目で分かる。機嫌が良い時はブルドックが餌を貰ったような表情になるのだ。つまり目尻が垂れる。俺は地球教徒じゃないぞ、多分リューネブルクも。だからそんな腹を減らしたブルドックのように喰い付きそうな目で見ないでくれ。
「今警察が地球教団支部に向かっている。理由は分かるな?」
「例の一件ですね。フェザーンの背後に地球教が有り帝国、反乱軍の共倒れを狙っている……」
俺の答えにオフレッサーが鼻を鳴らした。その通りだという事かな……。
「その通りだ。軍も警察を支援することになった。憲兵隊、装甲擲弾兵が教団支部に向かっている。まあそれは良い、卿らには別にやってもらう事が有る、地球教団本部の制圧だ」
間違っていなかったようだ。
「我々に地球へ赴けと」
「そうだ、ミューゼルが制宙権の確保、リューネブルクが地上制圧。両名で地球教を制圧しろ」
リューネブルクと顔を見合わせた。彼が微かに頷く。
「何時出立出来る?」
「小官は明後日には……」
俺の答えにリューネブルクも頷く。それを見てオフレッサーが“明後日だな”と呟いた。
「それでは準備にかかります」
「うむ、制圧後の調査のために情報部の人間も同行する。連れて行くのを忘れるな」
「はっ」
オフレッサーの部屋を出るとリューネブルクが溜息を吐いた。
「どうかしたか、リューネブルク少将」
「いや、久しぶりの任務だ、地上制圧、それ自体は不満ではないが相手がな……、地球教? どんな相手か想像がつかん、気が進まんよ。反乱軍を相手にしている方が気が楽だ」
「なるほど」
リューネブルクは白兵戦が主体だ。直接敵と向き合って戦うことになる。相手の素性がはっきりしないと言うのは不安なのだろう。そういう意味では艦隊指揮官というのは楽だろう。自分の指揮で誰を殺したのかなどと悩まずに済む。但し死傷者の数はこちらの方が上だ、何百倍、何千倍も。
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