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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十八話 曙光
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ず、蔑まれなければ恭順できる、そういうことか……」
沈黙を破ったのはリヒテンラーデ侯だった。
「何か良い手は無いものかの」

リヒテンラーデ侯が呟くように吐いた。誰かに問いかけたわけではない、しかし皆の視線がヴァレンシュタイン司令長官に集中した。その視線を受け司令長官は僅かに眉を寄せ溜息をついた。

「難しいことを仰いますね。万一、二人が反逆しなければ、地方での反乱が頻発しますよ。鎮圧するのにどれだけ時間がかかるか、分かっていらっしゃるんですか、リヒテンラーデ侯?」

「そう言うでない。あの二人が反逆すれば、エリザベート様、サビーネ様は反逆者の娘になる。皇族でありながら反逆者だ。後々生きていくのが難しいことになろう、陛下もお苦しみになるに違いない。何とかならんかの」

「……私個人の考えです。誰とも相談した事も有りませんし、受け入れてもらえるかどうかも分かりません。それでもよろしいですか」
「うむ、かまわん」

「ブラウンシュバイク公もリッテンハイム侯も現状の門閥貴族としての地位を保ちながら生き残ろうとしています。それでは無理ですね、いずれ暴発に巻き込まれ滅びます」
「……」

「門閥貴族として生き残ることを考えるのではなく、新帝国が成立する事を喜びそのために何が出来るかを考えるべきでしょう。そこから生き残る道も見えてきます。先ずは領地替えでしょうね」

「領地替え?」
何人かが、戸惑うかのような声を上げた。領地替え、現在の所領を代えるということだろうか?

「ブラウンシュバイク公もリッテンハイム侯も大貴族で皇位継承権を持つ娘を持ちオーディンの近くに所領がある、そのことが周りの貴族たちを引き付けています。ならばそれを無くしてしまえば良い」

意味は分かるが具体的には何処に移すのだろう、思わず問いかけていた。
「司令長官、具体的に何処に移すのです」
「辺境ですよ。出来るだけイゼルローン回廊近くに移します」

「回廊近くに移すというのか」
声を上げたのはエーレンベルク元帥だった。門閥貴族の雄を辺境に、それも回廊近くに移す。都落ち、そんな言葉が脳裏に浮かんだ。

「ええ、イゼルローン要塞が反乱軍に奪われて以来、帝国辺境は常に反乱軍侵攻の危機にさらされています。帝国の藩屏たる両家は帝国の安全を守るために辺境への領地替えを陛下に願い出る、そんなところですね」

防衛と言っても反乱軍は大打撃を被ったばかりだ。実際に防衛戦を行なう事など先ず無いだろう。そう思っていると司令長官も同じことを言い始めた。

「まあ、現状では防衛戦は無いでしょう。しかし、いずれ反乱軍へ大攻勢をかけるときが来ます。そのときにはイゼルローン方面から攻撃に参加し、イゼルローン方面進攻軍の先鋒を務めてもらう事になる。新帝国成立のために血
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