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SAO−−鼠と鴉と撫子と
8,未来を変えろ
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ヤー嬢。一足先に頂いてるヨ」
手元にはこのレストランで出る500コルのフレンチトーストが1つ。高いけど、美味しいんだよなぁ。あれ。

「俺も同じ物を頼むわ。ヤヨイは?」
「では私も同じ物を。それと、私のことはきちんとプレイヤーネームで呼んで欲しい」
「ヤー嬢はヤー嬢なんダよナ。それにオイラだって知らなかったんダ―ヨ」

アルゴは、言葉を切って俺とヤヨイの顔を交互に見比べ、
「二人共、言い捨てで呼び合う中にいつの間になったんダ?オネイさん、ヤいちゃうナ」

「ッッナ」
狼狽し、言い淀むヤヨイを見て、ケタケタと笑い声をあげるアルゴ。からかわれたのが分かったのか、ヤヨイは剣の柄を握り締め、プルプルと震えている。

この警官の抜刀条件は知らないが、まあ圏内だし大丈夫だろう。

「アルゴ、あんまにからかうなよ。それに言い捨ては俺が言いやすいから頼んだんだ」
「クロちゃんは引っかからないから面白くなーいンだよナ。まあこれ位にして、本題に入ろうカ」

「……ああ、そうだな。見せたかったのはこれなんだ」

俺はアイテムストレージから、あの時に拾った謎の短剣<メリッサ>を、ヤヨイは白色の本を取り出す。

「これが、遅参組が初めから持っていたっていうアイテムか……最初三人だったのに、何でアイテムは2つなんダ?」
「俺のストレージには何一つ入っていなかったんだ」
「もしかしたらリスクを考えて協力者の立場のクロウにはしなかったのかもしれません。ソフトに改竄のあとがあれば最悪の場合、リンクスタートと同時に即死する可能性も否定できない状況でした」

俺も、後日初めて知ったが、あの時使ったソフトにはカーディナルシステムでも気付かれないほどの些細な改造を組み込んでいたらしい。
その僅かな改造で二人が持ち込んだのが、怪剣「メリッサ」と書籍アイテム「アインクラッド生態目録」だ。

メリッサの方は持ち込んだレイズさんが死んだ今となっては機能は謎のままだが、ヤヨイの持ち込んだ本は読めばすぐに分かった。
HPから使用スキル・行動パターン・弱点を記載したもので、75層までの全モンスターの情報が記載してある。

当然、二人ではこのユニークアイテムをどう扱えば最もよく使えるかも分からず、情報のプロにお越しいただいた次第である。


アルゴはひとまず、俺の短剣の方を手にとって眺め、続いて白色の本をリズミカルにめくっていく。
俺とヤヨイはその間に一層ではかなり美味しいと触れ込みのフレンチトーストを堪能していく。ふんわりとした食感と滑らかな舌触りは黒パンで過ごしていた身分にとっては極上の食感だ。
お金はクエストで手に入れた「アニールブレード」を二人して売却したため、余裕がある。
食しか娯楽のないアインクラッド生活。これくらいの贅沢しない
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