十一話:お風呂
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頭をあまり揺らさないように拭き、肩から腕にかけての水滴を拭き取る。
何とも言えぬ緊張感で体が火照る中、ジャンヌは黙って作業を行う。
だが、見守っていたジャンヌ・オルタの言葉でそれも終わりを告げる。
「こいつ……意外と良い体してるわね」
言われてまじまじと彼の体を観察してしまうジャンヌ。
服の上からでは分かることのなかった分厚い大胸筋。
背中まで盛り上がった背筋。そしてハッキリと割れ目の見える腹筋。
控え目に見ても彼の体は鍛え上げられていた。
「確かに、カッコいい体です……はっ! いけません、そんなことよりも早く拭いてあげないと」
思わず見とれていた自分に恥ずかしくなり顔を隠すように俯きながら再開する。
しかし、先程までは気にしなかった浮き上がった鎖骨や乳首、腕の筋肉がいやに目につく。
それでも何とか我慢して足まで拭き終える。
ここまで来れば安心だと思ったジャンヌだったが肝心なことを忘れていた。
「タ、タオルの下は……どうしましょうか」
「わ、私に聞かないでよ!」
「拭くとなると、ふ、触れないとダメですよね…」
体の残りの一部。タオルで隠された部分に目をやる二人。
ここを拭くとなると見ないようにはできても一部分に触らねばならない。
だが、そんなことは純情なお年頃の少女二人にはできない。
「も、もう、諦めなさいよ。ちょっと濡れてる程度で風邪引くほど柔じゃないわよ、こいつ」
「そ、そうですよね、仕方ないですよね。後は風邪を引かないように毛布でも掛けて起きるのを待てばいいですよね。はい」
ここまで自分達はやったのだからもういいだろうとお互いに頷き合う。
そしてぐだ男が起きるまで立ち去ろうとしたところでタイミングよく彼が起き上がる。
『うーん…あれ? 俺、何してたっけ』
「ああ、良かった。起きたのですね、ぐだ男…く…ん…」
ホッと胸を撫で下ろすのもつかの間。
起き上がったことで最後の防御壁として機能していたタオルがハラリと落ちる。
一切の遮蔽物もなく露わになるぐだ男の“ぐだ男”。
事態に気付いた張本人が慌てて手で覆うがもう遅い。
「「キャァアアアッ!!」」
『ホントにすみません!!』
顔を真っ赤に染めた二人の悲鳴と共に攻撃を受けながらぐだ男は謝罪を繰り返すしかなかった。
『この度は不快な目に合わせて本当に申し訳ありませんでした』
乾いた制服を着た状態で二人に対し深々と頭を下げるぐだ男。
年頃の女性に男の象徴を見せつけたなど通報されてもおかしくないこの時代。
頭を下げるだけで許してもらえるのなら安いものである。
「たく、今度やったら縊り殺すわよ」
「元はと言えば私のせ
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