十一話:お風呂
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と邪推したのだ。
「はい? やるとは何を?」
「何で分からないのよ! あ、赤ちゃんを……作るやつよ……」
心底恥ずかしそうに消え入るような声で呟くジャンヌ・オルタ。
それを聞いたジャンヌは一瞬何を言われたのか分からないようにポカンと口を開ける。
しかし、次の瞬間にはどういった勘違いがされたのかを悟り頬を染め上げる。
「ち、違いますよ! そんなことしていません!」
「じゃあ、なんで下着姿なのよ! というか、なんでこいつが風呂にいるわけ!?」
ジャンヌ・オルタに言われて初めて自分の姿に気づき慌てて反論するジャンヌ。
「これは着替えている最中に急いできたからです! ぐだ男君がここにいるのは、その…服が濡れていたからです!」
「はぁ? 別に乾くまで別の服着せてればいいだけじゃない」
「風邪を引いたらどうするんですか!?」
「知らないわよ、そんなこと!」
気絶するぐだ男の上で騒がしく喧嘩を繰り広げる姉妹。
普通であれば起きてきそうな喧騒ではあるがぐだ男の精神は未だに覚めない。
そのため二人の姉妹喧嘩は誰に止められることなく続く。
「大体、男を連れ込むとか常識考えなさいよ! 犬や猫じゃないのよ!!」
「う…い、いいじゃないですか! 人助けです! 恩返しです! よって無罪です!!」
「だったら何よ! あんたのせいで私は変なもの見る羽目になっちゃったじゃない!!」
「変なものというと……」
二人の視線がぐだ男のある一部に向けられる。
幸いにしてタオルのガードは崩れておらず事故は起きていない。
「……見たのですか?」
「完全には見てないわよ! ただ、上がった瞬間に一瞬だけ…見えたような……」
目を逸らしながらぼそぼそと語るジャンヌ・オルタ。
二人の間に妙な空気が流れる。
しばらく沈黙が続いていたが、お互いにその空気に耐えられなくなり口を開く。
「……こいつどうすんのよ?」
「一先ず、起きるまで安静にしたいのですが……体を拭かないといけませんよね」
運悪く体を拭く前に倒れてしまったためにぐだ男の体は水で濡れている。
このままでは湯冷めで風邪を引いてしまうかもしれない。
しかしながら、二人は無言で見つめ合う。
「誰が拭きましょうか…」
「私は知らないわよ。あんたのせいなんだから、あんたが拭きなさい」
「そう……ですよね。はい、そうするしかないですよね」
自分が起こしてしまった悲劇故に自分で尻拭いをするしかない。
ジャンヌは軽く頬を叩いて気合を入れ、新しいタオルを手に取る。
「……いきます」
まるで戦場に赴くような表情でぐだ男の体を拭きにかかるジャンヌ。
その姿をジャンヌ・オルタも固唾を飲んで見守る。
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