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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十七話 絆
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るだろう。となれば次はブラウンシュバイク公だ。まさにぎりぎりのタイミングで俺たちは此処に来たらしい。

「リッテンハイム侯、どうやらわしは良いところへ来たようだ。この件では卿の力になれると思う」
「ほう、それは?」

「娘たちを守り、我らの命を守る。一石二鳥の策だ、とりあえず時間は稼げるだろう」
「……」

「問題はその後だ。これからどうするか、リッテンハイム侯、卿とじっくりと話したいのだがな……」
「じっくりとか……。いいだろう、卿が此処にいる間はあの馬鹿どもの話を聞かずに済む。願っても無いことだ、泊まっても良いぞ」

そう言うとリッテンハイム侯は可笑しくてたまらないといったように笑い出した。ブラウンシュバイク公も釣られたように笑い出す。少しでは有るが展望が見えてきた、そう思いたいものだ。



帝国暦 487年10月18日   オーディン リッテンハイム侯邸
ウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世


「クリスティーネ、明日、サビーネを連れて陛下の元に行ってくれ」
「それは御機嫌伺いという事ですか?」
「いや、そうではない。この先、ずっと陛下の元に留まるのだ」
「どういうことです、何故私とサビーネが宮殿に戻らねばならないのです」

予想した事だがクリスティーネ・フォン・リッテンハイム、私の妻が柳眉を逆立てて抗議をしてきた。その隣でサビーネが不安そうな表情をしている。相変わらず勝気というか、気が強いというか、私が彼女に愛想を尽かしたとでも思ったのだろうか……。

「落ち着きなさい、クリスティーネ。お前達だけではない、ブラウンシュバイク公夫人とエリザベートも陛下の元に戻る事になった」

私の言葉にクリスティーネはサビーネと顔を見合わせ困惑した表情を見せた。
「お姉さまも? どういうことです、貴方。隠し事をせずに教えてください。先程までブラウンシュバイク公がいらっしゃいましたが、一体何をお話になったのです」

話しているうちに不安になったのだろう。急き込むような口調になった。普段勝気な姿を見せるクリスティーネだが、それは甘えの裏返しなのだ。親しいからこそ、相手を信じているからこそ甘えを出す。最初の頃は慣れなかったが、今ではそんな彼女を愛おしく思える自分が居る

姉のブラウンシュバイク公夫人に対する対抗意識も同じだ。もし私とブラウンシュバイク公が戦うことになれば、誰よりも胸を痛めるのはクリスティーネだろう。

「落ち着きなさい、今話す」
「……」
「先日、改革の勅令が出された。だがその事に反発するものたちが居る。何故か分かるか?」

私の問いにクリスティーネが答えた。サビーネはその隣で頷いている。
「ルドルフ大帝が定めた国是を否定しようとしていると皆言っていますが?」

「そう
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