Side Story
少女怪盗と仮面の神父 26
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、この娘と彼女を会わせたいだけなのですが」
「今は必要ありません。彼女も主も望んでいない。貴方ならお分かりになるでしょう? その方のまっすぐな気性に、我々の世界は残酷すぎる。幸い、まだ引き返せます。どうかその方を、主達を苦しめないでいただきたい!」
「他ならぬこの娘自身の人生です。ミートリッテさんにも選ぶ権利を与えて然るべきではありませんか?」
「選ぶ時が今ではないと、そう申し上げているのです! 貴方のやり方では誰も救われない!」
「今でなければいつです? イオーネさん達を捕まえた後、貴方方は確実に証拠を抹消するでしょう。無用な争いを避ける意味では正しい判断です。
しかし、そうなった後では二度とシャムロックに罪を自覚させられない。
貴方方は卑怯だ。後回しを匂わせておいて、その実、ミートリッテさんの選択肢を気付かれないうちに消し去ろうとした。自身で考え反省する機会も与えず、本人とは一切目を合わせないまま護り育てた気になって。この娘の自立心と成長を妨げているのは彼ら自身だと、何故気付かないのですか」
(……選択肢? 選ぶ権利? 何の話?)
自分に関する話なのは解るが、内容がほとんど掴めない。
一つ確かなのは、ここに集まった人間も結局(話題の張本人にとっては)不親切な会話しかしてくれない点だ。
徹底した嫌がらせの域。
いっそ清々しい置き去り感に、不平不満も引き籠る。
「貴方も、一度は納得されていたではありませんか! だからこそ、我々に協力してくださったのでしょう!?」
「確かに。ですが、イオーネさん達と話せたおかげで迷いが晴れましたよ。事実を伏せても、誰一人成長できないのだと」
「おやめください、アーレスト様! たとえ貴方でも、これ以上は本当に、制裁を免れなくなります!」
三人の影が一斉に、頭二つ分くらい沈む。
微かな金属音は、腰に帯いた剣の柄を握ったからか。
神父に向けて臨戦体勢を取っているようだ。
「お聞き分けください、アーレスト様。貴方なら既にお気付きでしょうが、あの方がこちらに向かっておいでです。奴らを追う主達はまだ知りません。一堂に会してしまったら絶対に引き返せない。それもまた選択肢を奪うのと同義ではありませんか! むしろもっと質が悪い! アリア信仰とは違い、試しに入ったけど合わないから辞める、では済まされないのですよ!?」
「ええ……身に染みて理解しています。だからこそ、私が動いたのですよ。この娘が組み込まれても、私の立場なら救い出せる」
「アーレスト様……っ」
神父の言葉が決裂の合図になったのか。
三方向で、鞘から剣身を抜き放つ音が聴こえてきた。
殺気は感じない。
三人は、どうあっても神父と怪盗を捕獲し
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