Side Story
少女怪盗と仮面の神父 26
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オーネ、名前も教えてくれなかった青年と、彼が属する俺達にあいつら、奴ら、彼ら、あの方、彼女、私達、あいつ、ヴェラーナ、ウィリアー、アムネリダ達、厄介なお迎え、厄介に厄介を重ねた人間。
もう、何がなんだかさっぱりだ。
ただ、アーレストの言葉が真実なら、あの腐れ男共こそがシャムロックを止めたがっていた『彼ら』ということになる。
薄汚く下品に笑い、暴力と色欲が生き甲斐です、と全身で主張していた、船上で一度顔を合わせただけの、あの男共が。
(ありえない。何かを護ろうとする人種には見えなかったし、扉越しだって言っても、他人の前で女性を暴行するくそったれ共なのに。そもそも、私にシャムロックを辞めさせたいなら盗みを依頼するなんておかしいでしょう。目的と手段の方向性が真逆だわ。それこそ筋が通ってない! 第一、こんな繋がり方じゃ、あの女性が……っ)
胸の奥にじわりと広がる、言い知れぬ不安。
脳裏に浮かびかけた糸口を隠したくて、目蓋を固く閉ざし、唇を噛んだ。
(……軍歌の意味を解けば、全部判る)
すっごく偉そうな女の人っぽい声に驚いて中断してしまったが。
一連の出来事の答えが歌に込められてるなら、これを拾うほうが先だ。
なにせシャムロックだけが、己を取り巻くものの正体を知らない。
まさに今この瞬間、何が起きているのかも理解できていないのだから。
(あの偉そうな口調の声も、私に何かを伝えてたのかな?)
守りたいものは何か? 決まってる。
ミートリッテを快く迎え入れてくれた優しい恩人達だ。
彼らの生活が困窮してたから、助けになりたくて怪盗を始めた。
その点にブレは無い。
人の世の理を認めろ? 人間は人間以上にも以下にもなれない?
そんなの当たり前だ。人間は人間。鳥でもなければ魚でもない。
誰だか知らないが、おかしな物言いをする……と、首を傾げた瞬間。
不意に軍歌の一節を思い出した。
『絶えざる秩序に命を捧げよ、神の騎士』
秩序。
この場合、言い換えれば人間が作った法。
生活の基盤。規準。決まり。道理。理。
……人の世の理。
(秩序を認めろ。人間は人間以上にも、以下にもなれない。シャムロックは道理を解してない。要は『法律に従って働け』って意味? シャムロックの本当の罪は、法に背いて人から物を奪ったこと?)
違う。そんなのは、シャムロックになると決める前に自覚してる。
他人の物を奪うのは絶対悪だ。
でも、未成年の自分には、他に実現可能な手段が見つからなかった。
金を得たいなら働けと言われても、正式な労働に従事させてくれ
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