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STARDUST唐eLAMEHAZE
第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#9
DARK BLUE MOON 〜Sapphired Moment〜
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 明らかに猜疑の色を滲ませて、背中越しにそう告げる青年に
少女は一層その視線を強める。
 しかしテーブルの上に置かれた青年の左手を視界の隅で捉えると、
そこから逃れるように背を向ける。
 両者の間に漂う一触即発の危うい雰囲気に、ジョセフはただ固唾を飲むのみ。 
 まるで、出逢った最初の頃に戻ってしまったかのようだ。
 互いの存在を視線で切り結ぶような、険悪だったあの頃に。
 俯き加減で表情の伺えないまま、少女は走ってその場からいなくなる。
 遠くなっていく大理石の反響音を聞きながら、
承太郎は制服から取り出した煙草を口に銜えた。
「……」
 船のチャーターと航路の調整、更にその下準備に加えて頭痛の種が増えたコトに、
ジョセフはやれやれと片手を額に当てる。
「何か、ナーバスみたいだね。彼女」
 静かな口調で少女の走り去った後を見つめていた花京院に、
「さぁ? いつも、あんなカンジじゃねーのか?」
承太郎は端正な口唇の端から細い紫煙を吹き出すのみだった。





【2】


 巨大な航空機が轟音と共に白い尾を引く。
 心地よい海風と微かな香木の匂い。
 その遙かな空の下、“彼女” はいた。
 外見は二十代前半。欧州系特有の鼻筋の整った美貌が、
薄化粧で見事に彩られている。
 髪は艶やかな栗色をしたシンプルなストレート・ポニー。
 スレンダーだが 「女性」 で在るコトを示すソノ特徴的な箇所だけは、
潤沢に張り上がった完璧なプロポーション。
 躰を包む丈の短い、開いた胸元も悩ましいタイト・スーツ姿の
彼女を見る者はスベテ、老若男女問わずそのこの世ならざる美しさに
平伏する以外術をなくす。
「……」
 しかしその 『笑えば絶世の』 という美女は、
麗しい外見とは裏腹の険悪そのものの目つきで眼前の光景を眺め、否、見下ろしている。
 縁の無いキュービックなデザインの眼鏡(グラス)を貫く眼光も、
己の視界を切り裂くような鋭さをその裡に宿していた。
香 港(こんなところ) に逃げ込んでやがったのね、あのクソ野郎……!」
 躰を取り巻くパヒュームの美香も相まって、
殆ど眩暈を覚えるような色香を無分別に振りまく
美女の口から出た言葉は、 意外にも品位を欠いた通俗的なモノ。
 次いでその声に合わせるように、
「まぁ、いーんじゃねーのかぁ!? 焦らされれば焦らされるほど
“アレ” の時のお愉しみがスゲーってなぁッ!?
ギャーーーーハッハッッハッハッハッハッハッッ!!」
品位を欠く処か下劣極まりない、
どれだけ酒焼けしてもこんな風にはならないんじゃないかという位濁った銅鑼声が、
彼女の細い腰から発せられた。
 正確には彼女が右肩から掛けた、黒い(レザー) ベルトで十字
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