暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
幻想天舞(1) 〜天翔けし白翼〜
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いえない状況にあった。

「ぐ……ふっ……!!」

 至近にて旋回する天馬の突進の余波を受け、それにより生じた魔力流と風圧だけで校舎へと叩きつけられた。
 
 このとき運が良かったと言うべきか、幸いだった事が幾つかあった。
 宝剣の加護故か、最悪でも受身の姿勢を取れたこと。壁ではなく窓を突き破る形で、校舎内へと弾き飛ばされたこと。
 そして窓を突き破った先でも教室の扉が僅かながら緩衝材となり、そのまま教室の中へと投げ出される形で最小限のダメージで済んだことだった。

 それでも被ったダメージは軽視できないが、五体満足でありまだ動ける状態で居られたのは僥倖だ。

 本来であれば直撃を避けたところで天馬が纏う魔力(ひかり)によって蒸発するか、校舎壁に激突して潰れる…………最低でも、内臓破裂程度の損傷は受けたはずだ。

 まだ運はオレを見放していない。
 少なくとも、勝負の天秤はその勝敗の行方を未だ揺らしている。

 だったら──────

「立って…………戦わなきゃ、いけないだろ…………」

 手にはちゃんと、彼女の宝具が握り締められている。
 意識ごと消し飛びそうな状態にあっても剣を手放さなかったのは、無意識にでも戦う意思を捨てていなかったからだと信じる。

 剣を床に突き立て、支えにして立ち上がる。
 ダメージは抜けていないが、今すぐに動けないことはない。
 魔術刻印から肉体強化、損傷補填の補助魔術を起動し、無理やり動ける状態までに身体を取り繕う。

 そろそろ身体のダメージを誤魔化すのも限界だ。
 魔術効果も無限ではない。効力が切れかける度に再度掛け直してはいるが、無を有には出来ないように、即時回復や永続補填は不可能なのだ。



 次に決殺を図るときこそ、勝負の決着の時だ。



 けれど、今の状況で有効な策はあるか?

 クラウ・ソナスに及ばないとはいえ、タスラムも直撃させれば勝負を覆す威力はある。
 しかし一度対象を貫いた魔丸は追尾特性を発揮できず、直線上を飛ぶ弾丸にしかならない。

 近接武器ではあるが真名開放を視野に入れれば、クラウ・ソナスでも天上の敵を切り裂くことは出来るだろう。
 しかし肝心の宝具はオレの手元にあり、これの使用を考えるならば問題点はまずフェンサーに渡すところからだ。

 校舎からフェンサーが吹き飛ばされた位置までは、軽く見積もっても数十メートルは離れている。
 遮蔽物のない地上から天空までを自由に行き来するライダーが居る以上合流など出来るはずもなく、剣を投げ渡すなんてのも現実的ではない。

 フェンサーに校舎内まで来てもらう手も無くはない。
 だが現状獲物が分断されているからこそ、オレを消し損ねたまま標的がフェンサーへと移ってい
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