暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
幻想天舞(1) 〜天翔けし白翼〜
[5/9]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
よ。たとえ私の眼が無くとも、敵の居場所はこの子が教えてくれる」
咄嗟に退避しようとするも、体が動かない。
見れば先ほどの衝撃で半身だけになりながらも、オレの脚に組み付く竜牙兵が2体。
天空で旋回するライダーが、一度こちらに狙いを定めて加速を始めれば後は一瞬だ。
悲鳴をあげる間もなくオレは天馬の突進で粉砕され、纏う光熱の魔力によって蒸発するだろう。
残された時間は十秒もない。
魔術を練り込む時間すらないと判断し、近くに転がるフェンサーの剣を手に取った。
その動作だけでも時間を取ったが、拾った勢いもそのままに足元に群がる竜牙兵を一気に薙ぎ払う。
「はぁ────!」
宝剣による薙ぎ払いで砕け散る竜牙兵。
幸い先ほどの天馬の突撃で、周囲の竜牙兵共はあらかた吹き飛ばされている。
迎撃も防御も回避もほぼ不可能。だがたとえどれほど困難であろうとも、まだ可能性のある回避に全力を費やさなければならない。
こちらからは何も届かせることのできない遥か上空、天の高みからオレがいる此処へと向き直る天馬の姿。
瞬間的に視認できない速度、校庭端の壁にフェンサーが激突した衝撃の規模から見て、天馬の最高速度は凡そでも時速数百kmは出ているだろう。
しかし最初からそこまでの超高速で動くということはありえない。
どれだけ最大速度が計り知れずとも、物体の運動とは初速から加速へと段階を踏み、徐々に最高速へと到達するのが普通だ。
ならば初速のさらに前段階、初動を読んで回避行動を取る。
むしろ向こうは速すぎるが故に、微細な動きや急激な方向転換は恐らく効かない。
それに天馬がライダーの眼の代わりをしているとは言っても、手綱を握っているのは彼女自身。
彼女と天馬も万全な状態ではない。精細に手綱を繰る技術にも、僅かながら綻びが生まれるはずだ。
天馬による突進の直撃だけは絶対に防ぐ。
余波で吹き飛ばされるにしても、その場所さえ選べば壁に激突するようなことは避けられる。
空中を旋回し、向き直った天馬がこちらへと敵意を放つ。
翔ける勢いをそのままに
墜落
(
突進
)
の準備を──────瞬間、天馬に明らかな溜めの動作が見て取れた。
(ここだ……ッ!!)
大発火の魔術を己が立つ地面にぶつけた。
それによる自身へのダメージなど忘却の彼方に追いやる。今必要なのはこの爆炎と爆煙、土の粉塵による目眩ましを利用した全力の回避。
どれだけの効果を発揮するかなど分からないが、何もしないよりはマシだ。
自分自身の視界さえも塞ぐ土煙と火炎の中を、考え得る最善の回避地点まで全力で走る────!!
「無駄な事を……」
煙幕を突き破り、女神と天馬は再び天へと
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ