暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
幻想天舞(1) 〜天翔けし白翼〜
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よ。たとえ私の眼が無くとも、敵の居場所はこの子が教えてくれる」

 咄嗟に退避しようとするも、体が動かない。
 見れば先ほどの衝撃で半身だけになりながらも、オレの脚に組み付く竜牙兵が2体。

 天空で旋回するライダーが、一度こちらに狙いを定めて加速を始めれば後は一瞬だ。
 悲鳴をあげる間もなくオレは天馬の突進で粉砕され、纏う光熱の魔力によって蒸発するだろう。

 残された時間は十秒もない。

 魔術を練り込む時間すらないと判断し、近くに転がるフェンサーの剣を手に取った。
 その動作だけでも時間を取ったが、拾った勢いもそのままに足元に群がる竜牙兵を一気に薙ぎ払う。

「はぁ────!」

 宝剣による薙ぎ払いで砕け散る竜牙兵。

 幸い先ほどの天馬の突撃で、周囲の竜牙兵共はあらかた吹き飛ばされている。
 迎撃も防御も回避もほぼ不可能。だがたとえどれほど困難であろうとも、まだ可能性のある回避に全力を費やさなければならない。

 こちらからは何も届かせることのできない遥か上空、天の高みからオレがいる此処へと向き直る天馬の姿。
 瞬間的に視認できない速度、校庭端の壁にフェンサーが激突した衝撃の規模から見て、天馬の最高速度は凡そでも時速数百kmは出ているだろう。
 
 しかし最初からそこまでの超高速で動くということはありえない。
 どれだけ最大速度が計り知れずとも、物体の運動とは初速から加速へと段階を踏み、徐々に最高速へと到達するのが普通だ。

 ならば初速のさらに前段階、初動を読んで回避行動を取る。

 むしろ向こうは速すぎるが故に、微細な動きや急激な方向転換は恐らく効かない。
 それに天馬がライダーの眼の代わりをしているとは言っても、手綱を握っているのは彼女自身。
 彼女と天馬も万全な状態ではない。精細に手綱を繰る技術にも、僅かながら綻びが生まれるはずだ。

 天馬による突進の直撃だけは絶対に防ぐ。
 余波で吹き飛ばされるにしても、その場所さえ選べば壁に激突するようなことは避けられる。

 空中を旋回し、向き直った天馬がこちらへと敵意を放つ。
 翔ける勢いをそのままに墜落(突進)の準備を──────瞬間、天馬に明らかな溜めの動作が見て取れた。

(ここだ……ッ!!)

 大発火の魔術を己が立つ地面にぶつけた。
 それによる自身へのダメージなど忘却の彼方に追いやる。今必要なのはこの爆炎と爆煙、土の粉塵による目眩ましを利用した全力の回避。

 どれだけの効果を発揮するかなど分からないが、何もしないよりはマシだ。

 自分自身の視界さえも塞ぐ土煙と火炎の中を、考え得る最善の回避地点まで全力で走る────!!

「無駄な事を……」

 煙幕を突き破り、女神と天馬は再び天へと
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