暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
幻想天舞(1) 〜天翔けし白翼〜
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が警鐘を鳴らすようにざわついているのを感じる。
飛散する鮮血。零れ落ちる流血。
眼窩からだけではなく、今や首からも大量の血を流すライダー。
その彼女を守るように前面に紅い血の方陣が描かれていく。
見たこともない式陣、複雑に入り組み乱れながらも何らかの法則によって編まれた幾何学的な紋様が展開される。
この紅血の魔方陣によって何が起こるのか、
何が出てくるのか
(
・・・・・・・・
)
。
「無駄よ。たとえ何をしようと、その抵抗の術ごと断ち切るわ」
もう待ちきれんとばかりに魔力の咆哮を上げるその宝剣を、フェンサーが解き放つ体勢に入った。
背筋を這う寒気は消えない。胸に渦巻く嫌な予感が消えてくれない。
だがそんなオレの胸中の思いなど関係なく、フェンサーの宝剣が解放された。
「
真名解放
(
ノウブル・ファンタズム
)
──
誓約された不敗の剣
(
ク ラ ウ ・ ソ ナ ス
)
──────!!!!」
白銀の極光が世界を覆った。
学園ごと消し去らぬよう威力と範囲は絞られているが、間違いなく総てを断ち切る必滅の一撃。
眼球を潰されたライダーが命を削りながら描き出した最後の紅血方陣も、その起動の瞬前に方陣ごと宝剣の光に飲み込まれる。
クラウ・ソナスという宝具に伝えられしは、鞘から解き放たれると同時に相手の命を断ったという伝説。
その真実は時間逆行や因果干渉に類するものではなく、ただ相手より速く、何よりも疾く剣を振るうが故の神速断絶だ。
その神速の法則により、ライダーが方陣を発動するよりも疾く宝剣の一撃は振るわれる。
並大抵のモノならば発動以前にその術技ごと斬り捨て、万が一発動が間に合ったとしてもそれは圧倒的に後手となる。
魔術の前提として、術者自身が存在しなければ魔術は発動することはできず、また発動後であっても術者がいなければその効力を発揮し得ない。
方陣を描いたことや発動手順から、恐らくライダーが最後に発動しようとしたのは神秘や呪い、宝具等ではなく魔術に属するものであるはずだ。
たとえライダーの魔術が間に合ったとしても、彼女自身にクラウ・ソナスを回避するだけの力は残っていない。
術の発動後に術者であるライダー自身が消滅する以上、描かれた方陣は何の意味も成さず、効果を発揮する前に消えるだけだ。
そのことを踏まえても、もはやライダーには勝機どころか生き残る手段を見出すことすら不可能……そう、確信していたはずなのに。
「殆ど賭けのようなものでしたが……どうやら、私の勝ちのようです」
「──────まさか、ね」
現存する学園の結界。消えていない紅血の魔力。
そして遥か上空より、微笑するように響いた彼女の声。
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