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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
幻想天舞(1) 〜天翔けし白翼〜
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負は最後の最後までその勝敗の天秤を揺らし続けるもの。
 だからこそ目を潰そうと、腕を、脚を断ち切ろうと、それこそ霊核を砕いたとしても決着がつくまでは気を弛めない。

 ここからは白兵戦で十分だなどという油断はせず、霊核を破壊して倒すなどという生易しいことはせず。



 ──────誓約された不敗の剣(クラウ・ソナス)の一撃を以て、ライダーを完全に消滅させる。



 真名解放によって最速を発現する彼女の宝具から、抗し逃れ得ることはほぼ不可能だ。

 同威力の宝具の撃ち合いによる相殺か、空間転移や次元干渉レベルの防衛手段で防ぎ切るか。
 
 あるいはランサーが持つ魔槍のような宝具ならば威力や特性に関係なくこちらを殺せるが、その時はお互いに宝具の一撃を受けて相討ちになる。
 前回の戦いでランサーとフェンサーがお互いに宝具を解放しながらも、相手を仕留め損ねたのは奇跡的な偶然に過ぎない。
 先に放たれれば必ず心臓を刺し貫き、後出しでさえ悪くても引き分けに持ち込める時点で、ランサーの槍が破格の宝具であることは疑いようもない。

 しかし総てを凌駕する神速を以て、事象すらも断絶する彼女の宝剣もまた、強力な宝具であることに間違いはないのだ。



「終わりよ、ライダー」

 タスラム使用からの連続解放故に魔力の再充填に少しの時間を要していたが、それも今臨界に達しつつある。
 後はフェンサーがあの白銀の剣を解き放つだけで、ライダーはその存在ごと極光に断たれて消滅するだろう。

 両眼を押さえて俯いていたライダーが、フェンサーの声に顔を上げる。
 その表情は苦痛に歪んでいるのか、死を目前に絶望の色を宿しているのか。

「ふ……ふふ…………」

 そうして再び見えた彼女の顔は、負になど捕われていない笑みで彩られていた。

(……何がおかしい? この状況で勝機なんて有り得ないはずだ)

 それこそ奇跡を起こす宝具であったとしても、逆転の可能性など皆無に等しい。
 もはや死を待つだけの身であるはずのライダーの微笑みに、オレは言い知れない悪寒を感じていた。

 ここで選択を誤れば、逆にこちらが窮地に立たされるかのような………………

「おい、フェンサー……」
「大丈夫よ、マスター」

 自分でもよくわからない不安に胸中が掻き立てられる。
 こちらの危惧をわかった上でフェンサーは大丈夫と言ったのだろう。オレも彼女と同じく勝利を確信している。

 そのはずなのに──────

 対峙するライダーが、いつのまにか持ち直していた鉄杭を掲げる。

 今までオレを幾度となく襲ってきたその牙が。
 まるで時間が遅くなったようにゆっくりと、彼女自身の首へと突き立てられ。

 胸の奥で何か
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