十話:夏と雨
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習とかあって大変じゃない?』
「大変ですけど、私達の時のことを思い出して楽しいですよ」
そう言いながらジャンヌも自販機に金を入れジュースを買う。
どうやら彼女は炭酸飲料を買ったようだ。
「ぐだ男君の方こそ関係のない行事でも手伝ってくれて大変じゃありませんか?」
『自分の学校だから関係あるでしょ?』
当たり前のことをしただけだと不思議そうに首を傾げるぐだ男。
そのどこまでも素直な仕草にジャンヌはクスクスと笑う。
「ぐだ男君のそういったところ、私は好きですよ」
『それ褒めてる?』
「ええ、凄く褒めてます」
ぐだ男は単純だと言われたような気がして複雑そうな顔をする。
しかし、ジャンヌが笑っているのでそれでいいかと割り切り自身も頬を緩める。
『ところでジャンヌ。今日はもう終わり?』
「はい、後片付けも終わったので。……何かあるのですか?」
『いや、ジャンヌと一緒に帰れたら嬉しいなって』
内心ではドキドキとしながらも精一杯取り繕ってお誘いをする。
ジャンヌは一瞬、頬を染めてから少し困ったような表情を見せる。
「もう……そんな言われかたをしたら断われないじゃないですか」
『嫌だった?』
「いえ、私も嬉しいですよ。では、一緒に帰りましょうか」
OKを得ることができて内心でガッツポーズを取りながらジャンヌにお礼を言う。
友人達と相談した結果、とにかくチャンスがあれば彼女の傍にいるようにする決定された。
ぐだ男はその計画をとにかく実行し続けていくつもりなのである。
『……あれ? 雲行きが怪しい気が』
浮かれる彼の心情とは反対に空には夏特有の入道雲が立ち込めていた。
これは一雨きそうだと思いカバンから折り畳み傘を取り出す。
「雨が降りそうですね…。ぐだ男君は準備がいいですね」
『エミヤが持っていけって』
「よく気が回る人ですね。私は……今日は晴れると思っていましたので」
どうしたものかと可愛らしく眉を寄せるジャンヌ。
彼女の仕草一つ一つにドキドキとしながらぐだ男も急ぐ。
『濡れるといけないから早く帰ろう』
「そうですね」
二人並んで足早に歩いていく。
しかし、夏の天気の変わり易さを舐めてはいけない。
二人がレオニダスに見送られ校門を出たあたりでポツポツと雨粒が落ちてくる。
「これは……困りましたね」
『帰るまで保ちそうにないね』
少し駆け足気味に進みながら話をしていく。
その間にぐだ男は自身の傘とジャンヌを交互に見てあることを決める。
『はい、これ使って』
「え? でも、ぐだ男君が……」
『走って帰ったら何とかなるはず。それじゃあ』
戸惑うジャンヌに傘を押し付け、
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