十話:夏と雨
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の体験授業は直流の実験に決まっているだろう! このすっとんきょう!」
「これだから凡骨は、テスラコイルのインパクトこそが生徒の心をつかむのだ! 貴様のような量産豆電球では生徒が逃げていくのがわからんのか?」
言い争うライオンヘッドと天才。
語る必要もない学園の名物教師エジソンとテスラである。
「おっと、手が滑った」
「おっと、電気が滑った」
拳が舞い、電撃が飛び散る。
いい年をした大人が幼稚なケンカを繰り広げる様に何とも言えぬ顔をするぐだ男。
争いは同じレベルでしか発生しないと言われるが。
この二人はどちらも天才であるために争っているという珍しい例である。
もっとも、他人から見ればただ単に迷惑なだけであるが。
「む? ぐだ男君ではないか!」
「おお! グッドタイミングだ。君に聞きたいことがある!」
『……見つかってしまった』
藪を突いてしまったことを自覚するが既に遅い。
教室に引きずり込まれ二人の天才に問われる。
「直流と交流、どちらを授業でやるべきだと思うかね!?」
―――正直どっちでもいいです。
その言葉を飲み込み、仲が悪い割にぴったりと息の合った言葉に内心で辟易しながら考える。
この問いかけでどちらか片方を贔屓することはできない。
後で延々と直流と交流どちらかの良さを説明されるからだ。
故にぐだ男はこう返事を返す。
『いっそ、両方やってそれから中学生にどちらが良かったか聞いたらどうですか?』
筋が通っているような意見ではあるが彼の思惑はそこではない。
ぶっちゃけると彼は未来の後輩へとキラーパスを送ったのである。
それこそ後は任せたと言わんばかりの投げ出しっぷりだ。
「うーむ…確かにそれならば白黒ハッキリつけられるか」
「ふはははは! いいだろう。その勝負受けてやろうではないか凡骨!」
「ぬかせ、すっとんきょう!」
しかしながら、二人には受け入れられ、一応の解決を見せる。
それを見届けぐだ男は再び歩き出すのだった。
「しかし、時間はどうする?」
「勿論、公平に半分だ。後でエルメロイ2世に時間割の修正を頼むとしよう」
後に問題になるであろう苦労人の胃痛に背を向けて。
剣道部の手伝いも終わり自販機で買ったジュースを飲んで一息をつくぐだ男。
そこへ意中の女性の声が響いてくる。
「あ、ぐだ男君も準備の手伝いをしていたのですか」
『ま、まあね』
本当は少しでもジャンヌと会えるかもしれないと思って残ったなどとは言えない。
勿論、純粋に人助けの意味合いもあるが大部分は彼女と会える可能性に賭けただけである。
『ジャンヌは生徒会長だしスピーチの練
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