もしもトウカが剣士さんじゃなかったら2
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。装備を変えたおかげでほかの誰にもバレなかったから、彼には助けられたよ……。
人気のないところで剣を仕舞い、グローブを嵌める。どんな魔法が掛かっているのか分からないけどすぐに私のサイズにぴったり合う。
少し考えて手袋からもう一つの、義父から贈られた護身用のものを取り出して装備した。短剣ってやつだ。もしかしたら刃物が必要な場面があるかもしれないから。
よし……。
急いでエルトたちを探さないと。
・・・・
・・・
・・
・
追いついた。
剣を装備していない私を不思議そうにヤンガスが見て、疑問に感じたようにエルトが話しかけてくる。……私より背が高く、しかも若くして近衛に上り詰めた彼は、少し怖かった。もちろん頼もしい味方なのだけど、使えない私を捨てやしないかと、思ってしまって。
「剣は、どうしたのですか?」
「事情があって。ちゃんと戦うから、そこは心配しないで。剣はそもそもほとんど使ったことがなくてね……そっちの方が足でまといになってしまう」
「そう、ですか。街に残りますか?」
「陛下と姫の為、そしてトロデーンの国民を守るのは貴族の役目でもあるんだ。ボクはこんなんでも『モノトリア』だ。引くわけにはいかないよ」
エルトの黒い瞳が少し、呆れたみたいだったけど、それ以上は何も言ってこなかった。命の恩人であるエルトを慕うヤンガスも、エルトが私に貴族だから敬語を使う様子を見て……そして多分それよりも陛下のように突っかからないから何も言わない。
私のことを二人とも無視こそしないけど、気にしない。
……これでいいんだ。これで。仲良しごっこなんて出来ないんだから。死にたくないけど、見捨てられないなら、それでいいんだ。
そこからしばらく歩いて、戦闘して、滝の洞窟に着いた。そこで襲いかかってくる魔物はフィールドで襲ってくる奴ら……なんとか殴り殺せる程度……よりも、強い。
最初と違って迷いがなくなったから、威力が上がった私の攻撃だけど、それでも一撃で殺せないから何度も何度も殴って倒すしかなかった。
そのせいですぐに私の白かった服はなんとも形容し難い赤黒っぽい色に変わった。染料は魔物の血や体液だ。正直、気持ち悪いけど……脱いで性別がバレるのも、守備力が下がるのも真っ平御免、我慢するしかなかった。
そうなってしまうほど過激な戦い方だけど、刃物を使わないから、ちっとも怖くはなかった。……嘘だよ。怖くはなかったけれど、怖く「は」なかったけれど、どうしてか愉快で愉快で仕方がなくて、大声で笑いだしそうになるのを必死でこられるのが大変だったぐらいだ。
でも顔は抑えきれなくて、ずっと満面の笑みだったと思う。そうなってからヤンガスは一度も振り返らなかった。エルトは三回の戦
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