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剣士さんとドラクエ[ 番外編集
もしもトウカが剣士さんじゃなかったら
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 茨に変えられた女性の前で座り込む、誰かの姿が見えた。ほかの人達と違って緑色っぽくは見えない。……もしかして、僕以外にも無事な人が居たんだろうか。

 姫も陛下も姿を変えられてしまったけれど、あと一人ぐらいは何ともなかった人が居てもいい筈だと、微かな希望に縋って城中を駆け巡っていたところに見つけた白い姿。急いで近寄ってみれば、それは茶色の頭をした見覚えのない少年だった。純白の服は小間使いや下っ端の兵士のものとは思えない。……貴族とかの、偉いさんの息子?

「……うぅ、ははうえ……」
「あの……」
「だ、誰だ?」

 慌てて振り返ったその顔は、悲しみや恐怖でくしゃくしゃになっていた。それでも泣いていなかったのは意地、みたいだ。僕より少し年下に見える幼い顔つきで、右目は長い前髪に隠されて見えない。……やっぱり見覚えないな。これでもトロデーンに来て長いから一度も見たことのない人なんて珍しいんだけど……行商人さえ、何人も顔見知りなのにおかしいなあ。

「僕はトロデーン近衛兵所属のエルトです。貴方は?」
「……ボクは、トウカ・モノトリア……。ねぇ、どうしちゃったっていうの?君以外の人間はみんな茨みたいになってて……母上も……!他に無事な人はいないの?」
「……残念ながら、姿を変えられていないのは貴方と僕だけです。姫と陛下は姿を変えられただけで動けますが……」
「あ、ああ……なんてことだ……」

 がっくりとうなだれた彼。……にしてもモノトリア、か。名だたる大貴族の名前だ。その息子の名前までは知らなかったけど、本人で間違いなさそうだ。僕が顔を知らなかったのもなかなか屋敷から出ないような箱入り息子なら納得だ。大方、異変に気づいて飛び出してきて母君を見つけたんだろうけど……ちょっと軽率だね。おかげで見つけれたからいいものの……。

「……一緒に来ていただけますか?」
「うん……」

 力なく座り込んだままの彼に手を差し伸べてみれば、何の警戒もせずに僕の手を取って立ち上がる。それは武器も握ったこともなさそうな、男とは思えない柔らかい手で、生存者を見つけれたことはいいことのはずなのに……なんとも心細くてならなかった。不安がっている彼にはとても言えないようなことだけど。だって、この時は力強い味方だとは到底思えなかったんだから……。

 それは一見か弱そうに見える少年の本性を知らなかったゆえの、楽観に似た勘違いだった。

・・・・

「……お久しぶりです、陛下」
「おお、おぬしも無事だったのか、モノトリア」
「はい。……お役に立てるかわかりませんが……」

 護身用にと義父上に昔買っていただいた剣を背負い、比較的丈夫な服を着て準備といってもいいのか分からない準備を終わらせた私は、おいたわしい姿に変えられてしまった陛下の前に
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