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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第四十九話 第三次ティアマト会戦の始まりです。
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アルフレートはアルレスハイム星系会戦大敗後、ハイネセンに帰着したその後もロボス司令長官の副官補佐役として雑務を精一杯こなしていたが、日ごとに司令長官の顔色が良くなくなっているのに気が付いていた。周囲の非難に対し、ロボスは突っぱねて続投継続を表明していたが、それが確信を持った強気からではないことは誰よりも本人が一番よく承知していた事実だったのかもしれない。自信のないまま自らのプライドだけで突っ走り、潔い進退の時期を見逃して悲惨な末路をたどった例は古来地球が誕生してから大小数えきれないほどあることである。
「お茶をお持ちしました。」
がらんとしたオフィスにいるのはアルフレートのほかには司令長官だけである。そっとロボスの好物のハチミツ入りのレモネードを置くと、ロボスは書類に目を通しながら「うむ。」という唸り声を上げただけだった。その声にも今一つ力がない。アルフレートはあれからロボスの往年の実績を調べたり、彼の指揮ぶりを録画していたコンパクトディスクのデータを見たりして、ロボスに対する考え方をやや改めていた。老年は先述したように「帝国の女スパイに性病を移された。」だの「痴呆症が始まった。」だの散々に言われ続けた彼だったが、若いときの艦隊指揮ぶりとその戦略・戦術眼はある意味シトレと同格なのではないかと、アルフレートは思ったのである。


どの小説や歴史もそうであるが、ある人物について著述したものはその人物を100%描写しきっているか?答えはもちろん否である。小説はある期間だけのその人の人となりを著し、歴史書は歴史にかかわる部分だけを著す。その人の普段の家庭生活、人となり、癖等を24時間、いや生まれてからずっと密着して記録し、記した本などはこの世には存在しない。それができるのは生まれてくる子とずっと接する親や家族だけだろう。


 だから、ロボスがたとえ小説やOVAで「無能・無策・無為」と表現され続けていたとしても、ロボスの能力が完全にゼロであるということの証明にはならないのである。ただし、すべての行為が結果に結びつくという収束論的に言えば、あるいはそうなるということもあるかもしれない。


 アルフレートはロボスの傍らにいて、彼の言動を耳に、目にする機会を多く手に入れてからこのような心境に至った。だが、彼は気が付いていただろうか。それはロボスの身に言えることではなく、ラインハルト、ヤン、銀河英雄伝説に登場する人物はおろか、数限りない周囲の人、そして自分自身にも当てはまるという事を。

アルフレートは一礼し、そっと部屋を出ようとした時、後ろから呼び止められた。
「若造。」
ロボスはアルフレートをいつもこのように呼ぶ。
「少し話がある。時間はあるか?」
「はい。ございます。」
「よし、こっちに来てくれ。そこの折りたたみ椅子を持
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