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第四十九話 第三次ティアマト会戦の始まりです。
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名ですが、眼前の艦隊指揮ぶりはそれを悉く否定する材料でありますな。」
と、シュタインメッツも感心したようにうなずいている。
「感心している場合ではないわ、で、私たちとしてはどうすればいいかしら?」
質問というよりは、聞き手を試すような言動だった。涼やかな声の主は、この艦隊の指揮官である。同盟軍中将の肩章を付けたプラチナ・アッシュの髪をサイド・テールにした女性が中央に立っている。やや斜に構えた皮肉そうな目の色もグレイであり、透き通るような美しい肌とほっそりした手足が伸びやかに動く。口元は引き締まった、だが、適度に柔らかい上質な印象を与えるすっきりしたラインを持っており、美しい鼻梁は歪むことを知らないまっすぐさを持っている。
ファーレンハイト、そしてシュタインメッツの間に挟まれて艦隊を指揮している彼女の正体は、今年24歳、クリスティーネ・フォン・エルク・ヴィトゲンシュティン中将という。
 彼女は帝国からの亡命者である。ヴィトゲンシュティン家は公爵家であるが、ただの公爵家ではない。皇帝陛下の血縁者として外戚の一員なのである。「エルク」というミドルネームはヴィトゲンシュティン家にのみ許された名誉称号であり、亡命者になってもなお、ヴィトゲンシュティン家はこの称号を公然と使用していた。ヴィトゲンシュティン家のクリスティーネと言えば、自由惑星同盟の一部の亡命貴族内部では知らぬ者がいないほどの存在だった。ところが、彼女は亡命者としてではなく、軍人として同盟領内で台頭する道を選んだ。その才能は若干22歳にして少将になるほど優れていたが、これには同盟政府、政財界の大物、そして軍の上層部などの強力なバックアップがあったからに他ならない。
 皇族に等しい彼女を押し立てて、帝国に対してその正当性を主張する、などという論法は、主流派からは異端とされながらも自由惑星同盟が帝国からの亡命者を受け入れるようになって以来100年以上もずっと主張され続けてきた考えなのである。


 台頭すれば利用される。彼女はそれを十分に承知していたが、あえて駒として活躍できる道を選んだのだった。


その傍らには意外な人物がいた。アルフレート・ミハイル・フォン・バウムガルデン、そしてカロリーネ・フォン・ゴールデンバウムである。彼らだけでなく、この艦隊の人員の悉くが帝国からの亡命者で構成されている軍隊なのだった。兵員120万、艦隊総数11000隻。同盟軍の支援を受けているとはいえ、いわばローゼンリッターの艦隊Versionなのだった。アルフレート・ミハイル・フォン・バウムガルデンが大尉、今年卒業したカロリーネ・フォン・ゴールデンバウムが少尉として搭乗しているのだった。


どうしてこうなったのか。話は数か月前、すなわちアルレスハイム星系会戦大敗直後にさかのぼる。

* * * 
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