第三十五話 母と娘
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とはいえ、その膨大な魔力から発せられる魔法は強力で、瞬間的な爆発力においてはマクシミリアンをも上回った。
一方、カリーヌ夫人はというと、流石は『烈風カリン』というべきか、カトレアの杖から発せられる暴風を見事に避けながら反撃の機会をうかがっていた。
「なるべく穏便に……怪我の無いように済ますつもりでしたが……しかたない」
遂にカリーヌ夫人も反撃を開始した。
杖から発せられた『ウィンド』は、カトレアの『ウィンド』と空中でぶつかり、空気の壁の様なものが出来た。
「ううっ」
「はあっ!」
ぶつかり合う魔力。
やがて壁は一つの圧縮された空気の塊になった。
2つの『ウィンド』のぶつかり合いは『鍔迫り合い』にも似た状況で、圧縮された空気の塊は更に圧縮され、素人目にも2人の間に空間の揺らぎの様な空気の塊が見えた。
数分ほど『鍔迫り合い』は続き、空気の塊の周りにつむじ風が発生しやがて竜巻にまで成長した。
「ひいいっ」
「これじゃ、俺達もお陀仏だ」
竜巻は薙ぎ倒された木々を巻き込み空中へ放り上げた。
逃げ場所を失った誘拐犯らは魔法で地面に穴を掘り始めた。穴の中に避難する為だ。
やがて、5メイルほどの深さに掘り誘拐犯たちはその中に非難した。
「おい! お前達も中に入るんだ!」
誘拐犯Aは動物達にも中に入るように言った。
狼達や馬にマンティコアが、中に入ろうとするが狭くて全員は入らない。しかも、周辺の棲んでいた他の動物達も避難を求めてやってきた。
「もっと深く、広くだ!」
「分かってるよ!」
誘拐犯Bは魔法でどんどん穴を深く広く広げていった。
おかげで精神切れで倒れる頃には、穴は全員が避難できる広さと深さにまでなった。
「入れ入れ!」
動物達はゾロゾロと穴の中に避難して行った。
全員入りきった事を確認した誘拐犯Aは、穴の口からカトレアたちの対決を眺める事にした。他の動物たちも穴の口から頭だけ出した。
カトレアとカリーヌ夫人の『鍔迫り合い』は、まだ続いていた。両者の間に発生した空気の塊を包むように竜巻も発生しそれは天をも衝かんばかりに成長していた。
「カトレア。いい加減に諦めなさい」
「……ッ、嫌ですお母様。わたしはマクシミリアンさまに会いたいんです。その為にここまでやって来たんです!」
地力の差か。カトレアは徐々に押され気味になっていった。
『鍔迫り合い』で両者の間に発生した空気の塊は巨大化しと竜巻は大災害レベルにまで成長していた。
もし、どちらかが精神切れを起こすなりして『鍔迫り合い』を止めれば、超圧縮によって固められた空気の塊は力の行き場を失い大爆発を起こす可能性が高かった。
そうな
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