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ソードアートオンライン アスカとキリカの物語
アインクラッド編
2人の出会い
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なくても普通の攻撃で倒すことができたよ」

年上と話すことに緊張しているせいか、声が小さくなりながらも黒ずくめは話し終えた。
改めて聞くと本当に声が高い。変声期前なのだろうか。
そんなことを頭の片隅で考えながらアスカは言われた言葉を咀嚼していく。
つまり、黒ずくめの言いたいことは、アスカの戦闘には無駄がある、ということだろう。
2度目のリニアーをたたき込んだあと、再度斧の3連劇を避けずに、そのままソードスキルなしの攻撃を行えばいい。
言いたいことは理解できる。
そして親切心から話しかけてきてくれたことも。
しかし、アスカの口から出てきたのは感謝の言葉ではなかった。

「過剰で何か問題があるのか?」

アスカの答えに黒ずくめはかすかに驚いたような仕草を見せる。
当然だろう。
過剰で問題がありまくりなのだ。
この世界で無駄のある戦闘を続けることは究極的に死へと繋がっているのだから。
けれど、アスカはそこまで分かっていて、問題が無いと口にした。
しばらく呆けたような顔をしていた黒ずくめだが,なおも捲し立ててくる。

「・・・確かにオーバーキルしてもシステム的なデメリットやペナルティはないよ・・・でも効率が悪いよ。ソードスキルは集中力がいるから、連発しすぎると精神的消耗が早くなる。帰り道もあるし、極力疲れないように戦った方が良い。」
「帰り道?」
「うん。このあたりのダンジョンから出るだけでも一時間近く掛かるし、そこから更に最寄りの街〈トールバーナ〉まで急いでも30分はかかるよ?君もわ・・・俺と同じくソロみたいだから、小さなミスが命取りになるよ」

余計なお世話だと思った。
今まで何人かのプレイヤーとダンジョン内で出くわす場面があったが、それらのプレイヤー達も、命の大切さがどうだとか、みんなで協力するべきだとか、アスカにとって何も心に響かない発言をしていた。
この黒ずくめは作業効率やシステム的に利のかなった説明をしてくれたぶん、今までの根性論や精神論を宣う奴らよりは幾分かマシだが、幾分かマシなだけであり、不愉快なことに代わりはない。
それに―――

「いいんだよ。街まで帰らないから」

アスカの発言に黒ずくめはびくりと体を震わせる。

「帰らないって・・・・街に帰らないって意味・・・?」
「ああ。ポーション類は買えるだけ買ってきたし、剣も予備を含めて同じものを三本購入してある。集中力が切れたら、安全地帯で休憩するから問題ない」
「そんな・・・・無茶だよ」

黒ずくめは呆然とした様子だ。
アスカも自分で異常だとは思っている。ステップによる回避を行えば、武器の耐久値を減らさないままノーダメージで相手の攻撃をやり過ごすことができるし、三本も同じ剣を購入しておけば、2日、3日はダンジョンに籠もりっぱ
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