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26歳会社員をSAOにぶち込んで見た。
第十二話 数字
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イツーはようやく、理解したような顔をしながら、再び笑みを浮かべた。
「……なるほど! これはやられました! この私は完敗です。 では後、13人。 精々頑張ってくださいね♪」
 そんな言葉だけを残して、ユイツーはその場から消えていく。
 一人目は……。 失敗した。
 俺が、間接的に殺したようなものか……。
 だが、俺は今、悔やまない。
 ラノベや漫画の主人公のように、今、挫折しない。
 そういうのは、全部終わってからやる。
 俺は、大人だからな……。
 生じる責任ってのは、後から必ずツケが来る。
 だから、その時に謝るんだよ……!
「ヘヴン、ユイスリー。 行こうぜ。 次だ……」
 俺は武器を仕舞いながらそう口にして、クローザーの部屋に背を向ける。
 すると、ヘヴンが満足気な笑みを浮かべた。
「あまり気にしないんだな。 人が目の前で死んだというのに。
あれだけインパクトのある、悲惨な死を前にして、よくもまぁ、平気だな」
「平気なんかじゃねぇよ……。 俺の脳裏には、トラウマの如く焼き付いちまった。
だから、次からは絶対にそうならないようにする。 学んで、次に生かすんだよ……」
 あくまでも、震える手を握りながら、そう冷静に口にすると。
 ヘヴンは、さらに、意地の悪い笑みを浮かべた。
「成る程。 凡庸な考えだったか。 しかし、私はその考え、嫌いではないぞ。
『次で生かせばいい』『次で成功すればいい』 その甘い考え方、何処まで通用できるか、見物だな」
「勘違いするなよ……『次で』、じゃない」
 俺はすぐに、ヘヴンのその言葉を否定した後。
「『次に生かす』『次は成功する』、だ! 同じことは二度と繰り返させるかよ! 社会人の基本だ!」
 そう言い放ち、宿屋から外へと出た。
 次の所有者は……十六層だ!
 俺は決意と共に、拳を握り締め、次へと、向かった。




――――――





 とあるダンジョン内にある圏内エリアで。
 ザサーダは、目の前に表示された幾つかのモニターを見ながら、薄く微笑んだ。
「いやはや。 中々どうして面白いよ。 ユイツーに続けて、スリーとフォーか。
3XのXは未知を示すXだから、大人なのかな? 4PのPはプロトタイプのPだから、どっちつかずの年齢なのかな?
ユイツーのコピーがイニシャルのCがつくから、きっとそうなんだろう。
まぁやはり面白くはある。 こういった、ゲームマスターに近い位置、ボスに近い位置で、彼らを待つのは」
 ザサーダが、その場でそう口にすると。
 圏内エリアの入り口に佇んでいた二つの人影が、笑みを浮かべた。
「ええ、そうでしょう。 先生なら、こういう役回りを理解してくれると思っていました。
私には、いえ、私達には、もう時間がありません」

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